「住民基本台帳の本人確認情報を利用する事務等を定める条例」−東京都が提案へ

東京都は6月議会(6月12日開会)に、「住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るための住民基本台帳の本人確認情報を利用する事務等を定める条例」を提案する。
都道府県事務のための本人確認情報の利用は、住民基本台帳法第30条の8第1項第2号及び第2項に規定され、条例を策定することで利用が可能になる。住基ネット稼動時には兵庫県が条例を策定し利用してきたが、現在は、東京都の説明によれば13県が条例を策定済みとされる。なお東京都は、当初の「電子都庁総合開発計画」(2001年策定)では2002年度(平成14年度)から、「本人確認情報の利用を順次図る」としていたので、5年ほど遅れたことになる。ただし今回は「順次」ではなく、「一斉」利用となっている。
東京都は都議会で可決されれば10月から施行する意向だが、条例で規定する事務は7局、13事務と膨大なものである。

■総務局(恩給条例による年金の給付時の現況確認等。雇傭員条例による年金の給付時の現況確認等)
■主税局(都税納入通知書の返戻調査、催告書の返戻調査、減免申請時の調査等。都税に関する過料の納入通知書の返戻調査等。嘱託を受けた他団体の徴収金の納入通知書の返戻調査等)
■生活文化スポーツ局(東京都育英資金の債権回収時の返戻調査等)
■環境局(東京都公害防止管理者登録変更時の住所確認等。東京都公害防止資金の債権回収時の返戻調査等)
■産業労働局(中小企業施設改善資金の債権回収時の返戻調査等。中小企業設備近代化資金の債権回収時の返戻調査等。都市博中止に伴う融資資金の債権回収時の返戻調査等)
■下水道局(下水道料金の債権回収時の返戻調査等)
■教育庁(恩給条例による年金の給付時の現況確認等)

兵庫県を初めとする13県の利用事務は、おそらく県税納入通知書の返戻調査等に関る事務が多いと思われるが、調査してみないと分からない。ただ東京都案のような利用事務の多い県はないのではなかろうか。
また、利用事務の中には個人ではなく法人も含まれるが、どのように利用するのか不明である。今後、解明する必要があるのではと思われる。