選挙公約の違反と対処の仕方—石原都知事と野口府中市長

選挙公約は、その公約をもって都民や市民に信を問うたものであるから、その履行にはきわめて重い責任を伴うものである。これは普通の市民の常識である。
したがって、その公約を翻したときは十分な説明責任を果たさなければならず、頬かむりしたり、あれやこれやと言いつくろうのは許されない。石原知事と野口府中市長の場合はどうだろうか。

石原知事の「低所得者の個人都民税減税」撤回
「低所得者の個人都民税減税」は4月の都知事選挙の際の石原知事の公約であった。それも唐突に打ち出し、あきらかに「選挙目当て」の公約であった。
7月頃あたりまではその具体策を検討していたはずなのに、9月8日、突如その公約を撤回してしまった。
毎日新聞の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070908-00000104-mailo-l13
個人都民税減税の公約は、区や市町村との事前の協議、相談は一切なく、だれもが唖然としたものだった。しかし上記の記事にあるように、「公約違反ではなく、政策の進化だ」と開き直っている。
都議会は9月19日に開会し、来週26日には代表質問、27日には一般質問が行われる。民主党、共産党、生活者ネットなどの野党は、徹底的に追及すべきだ。
また、石原知事にはもう1つ、累積損失が849億円にもなる「東京新銀行」というアキレス腱がある。知事は新銀行の単年度黒字化の目標を当初の計画より2年遅らせ、2010年3月に設定した。もし黒字転換が困難になったとき、どう責任をとるのか。だれかに責任を押しつけるのは許されない。

野口市長の公約撤回—ごみ収集の「ダストボックス」廃止と有料化方針
「ダストボックス」によるごみ収集方式は、1966年に府中市が他の自治体に先駆けて導入した、24時間いつでもゴミ捨てのできるシステムである。それは日野市や多摩市にも広がったが、ごみ減量が叫ばれるようになって、両市ともすでに「ダストボックス」方式からは撤退している。
しかし野口市長は、3年前の2期目の選挙公約として「ダストボックス」方式の維持を公約に立候補し、当選を果たした。市民にとっては「いつでも、ポイと捨てられるダストボックス」は便利である。府中市も、「ダストボックス」方式でもごみ減量はできると主張し続けてきたが、その廃止と個別収集、有料化は政策の大転換なのである。
当然、市議会で大問題となり、6月議会の全員協議会では、おそらく府中市はじまって以来という長時間の議論が繰り広げられた。結論は先送りされ、19日に開会した9月議会でも当然議論される。
府中市長選挙は来年2月に行なわれる。もし野口市長が3期目も立候補しようとするなら、ごみ収集と減量化政策を争点にするべきだ。選挙の前に結論を出すような愚は避けなければならない。
なお、次のように「ごみ収集の有料化について考える学習会」が開催される。
有料化で本当にごみは減るの?−ごみ収集の有料化について考える学習会
□ 日時:2007年10月5日(金)18:30〜
□ 場所:府中グリーンプラザ7F講習室
□ 講師:熊本一規さん(明治学院大学国際学部教授)
□ 主催:府中・生活者ネットワーク
□ 参加費:無料
□ 問合せ:府中ネット 042-360-4443