栗山町は豊かな台地が続き、町並みや農家も整っている印象を受けたが、夕張市はまったく印象が異なる。夕張市も南部は夕張メロンの産地であって農家のたたずまいもメロン産地を思わせる。しかし、中ほどから北部は山並みも迫って、財政破綻の厳しい状況そのままの印象である。(写真は夕張市本町地区の旧市街)

夕張市財政再建計画
一連の財政再建計画や、その後の変更計画などは次のサイトに掲載されている。
http://www.city.yubari.hokkaido.jp/cgi-bin/odb-get.exe?wit_template=AM020000
この計画は文字通り「財政再建計画」であり、課題は多い。財政再建が至上命令であることは確かであるが、そのためには「まちの再生」をどう図るかが重要である。しかし「財政再建計画」ではその点がきわめて不十分である。私が感じた課題は次のとおり(ごくごく簡単に)。

① 夕張市の居住地は南北に長く、南部は夕張メロンの栽培などが盛んで活況がある。問題は中央部から北部で、これら地域、特に北部は炭鉱閉山後、観光地化を図ってきたところである。観光資源が「負の財産」化してしまった今、観光資源にかわる再生資源を見出していない。
② 人口減少が続く中で、当面は「交流人口」の増加を図るために、たとえば「夕張まちづくり寄付条例」を制定し、寄付金の増加を図るとともに、まちづくりに有効活用しようとしているが、課題はNPOなど、再生まちづくりを担う人的資源である。応援団も含めて喫緊の課題である。
③ 市の中央部から北部は、市営住宅を中心に大量に空き家が生じている。空き家といえども維持費がかかる。簡単に集約化は困難であろうが、何らかの対策が必要である。
④ 最盛期11万人いた人口は、今は1万2千人程度。高齢化率は42%であるという。夕張病院を閉鎖し「医療センター」という診療所にかわったが、高齢者医療に継続して取り組める体制を持続することが期待される。
⑤ 市の職員はすでに「財政再建計画」の職員数を達成し、昨年度の3分の1にまで減ってしまっている。しかし逆に業務量は増加しているから、1人で3人分の働きを求められていることになる。残業が常態化し、「1ヶ月に1日休めれば」という状態だという。市は、市役所をはじめ市施設を90箇所前後売却する方針と伝えられるが、それらの事務もふくめて職員に過剰な負担を求めるには限界がある。その限界を見極めた対応が市の幹部には求められる。