水俣報告ーその2 頭石村丸ごと生活博物館

水俣市の湯出川上流にある頭石(かぐめいし)地区は、「村丸ごと生活博物館」の第1号に指定されたところだ。
「村丸ごと生活博物館」は、村全体を博物館に見立て、地元の人びとが学芸員として村の中を案内する仕組みだ。この取り組みは、平成17年度「農林水産祭むらづくり部門」で農水大臣賞を受けている。

頭石(かぐめいし)の地名の由来は、右の写真の大きな石にある。この直径3mはありそうな石は凝灰岩であるが、その大石がいくつも縦に横にと折り重なり、ちょうど人が腰を折り曲げたような形になっている。
水俣の言葉で、頭を下げる(腰を曲げる)ことを「かぐめる」ということから、頭石(かぐめいし)という名前がついたと伝えられているという。そしてそれが、村の地名にもなったというわけである。

この頭石地区は、写真のような棚田が全村に広がっている。この棚田は、石垣を積み上げてつくられているところに特徴がある。
水俣の棚田は、久木野地区のそれも有名だ。この地区の「棚田の里のむらづくり」は、総務省が毎年全国で10件ほど選ぶ「平成17年度過疎地域自立活性化優良事例」の総務大臣賞を受けている。

頭石地区には、珍しい蔵がある。写真のようにレンガで外壁が覆われている。これは、建設当初からそうだったのではなく、後から貼られたものらしい。
中は、古くからの様々な道具が展示され、昼間は喫茶が、夜は酒も飲めるようになっている。この地区を川沿いに下ると湯の鶴温泉だから、湯の鶴温泉に宿を取って、この蔵で美味しい酒をいただく趣向も捨てがたい。