介護 現場からの検証 結城康博さんの本

私(伊藤)の友人である結城康博さんの2冊目となる岩波新書が出版された。第1章から第6章までと最終章から構成されるが、徹底的に現場にこだわり、現場の声をすくい
上げようと徹したために、目次だけでも7ページになるが、それは現場の課題がいかに多く、広いかを証明しているともいえる。
本書は、サービス利用者、その家族、介護従事者、行政担当者、政治家等へのインタビューが基になっている。それぞれが現状をどのように理解しているのか。そこから、はたして「処方箋」は描けるだろうか。
ここでは、第1章から5章までは標題だけ、最終章は目次のすべてを紹介したい。多くの人びとに一読いただきたい本だ。

第1章 介護サービスが必要になったら
第2章 現場と政策の間
第3章 介護予防システム−その仕組みと有効性
第4章 介護保険の原点は何か
第5章 介護労働者から見る現場
第6章 障害者福祉における介護
終 章 現場に歩み寄る道筋
1 介護と医療は不可分である
2006年介護報酬改定と診療報酬改定/「後期高齢者医療制度」の創設/療養病床再編・廃止をめぐる問題/看護師から見た「介護と医療」/老人保健施設の現場/開業医の立場から
2 政治家たちの声
与党国会議員の主張/野党国会議員の提案/地方地自体首長の訴え/地方議員の問題意識
3 政策・施策が現場に歩み寄る道筋はあるか 
財政論優先論からの脱却/官僚主導型から政治主導型へ/介護保険制度は部分的に「福祉制度」でもある/「競争」「保険」「契約」といった幻想/分かりやすい制度と仕組みに/障害者福祉は税金で/将来、要支援者は保険制度から外されるのか?/介護従事者に将来ビジョンを/要介護区分の簡素化/介護と医療は表裏一体
4 介護保険制度における財源問題
介護保険料と自己負担割合/消費税引上げによる税収増はあるか/「年金財源」は消費税以外の歳出削減と税制改革で/医療・介護のための消費税引上げ(目的税化)/介護報酬引上げは概算要求次第
5 介護現場の明日—住民一人ひとりの責任

なお、結城さんは上記新書に続いて、下記の本を「ぎょうせい」より出版した。こちらは入門書である。
「長寿[後期高齢者]医療制度」 目次
 ・序章 後期高齢者医療制度が創設された背景
 1 被保険者と保険者
 2 保険料と窓口自己負担額
 3 後期高齢者診療報酬とは
 4 広域連合と市区町村
 5 財政運営の仕組み
 6 「特定健診・保健指導」と支援金
 ・終章 後期高齢者医療制度における問題
 ・資料編 厚生労働省資料抜粋