公教育における包摂と排除 嶺井正也・国祐道広編(八月書館)

インクルージョン(inclusion)という用語や考え方は、教育の現場で広がってきたといわれているが、最近はソーシャル・インクルージョンというように、社会保障や社会福祉の分野でも同様な考え方のもとに取組みが広がっている。
さて、標記の本は出版されたばかりで書店に並ぶのは8月からだと思われるが、著者の1人である中村文夫さん(当センターの学校施設研究会のメンバーでもある)から送っていただいたので紹介する。
下記の目次をみていただければ分かるとおり、教育制度、諸外国の取組み、学校事務職員、教員管理政策、特別支援教育、幼児教育、ジェンダー教育など、幅広いテーマが取り上げられている。

「公教育における包摂と排除」目次(各章の後段は著者)
第1章 近代公教育制度における包摂と排除—イタリアと日本の比較分析を通して 嶺井正也
第2章 フランスの「スカーフ禁止法」にみる移民の包摂と排除 池田賢市
第3章 ドイツ公教育における外国人児童・生徒の法的地位と現状—デニズンの包摂を手掛かりとして 福山文子
第4章 教職員組織における包摂と排除—人確法をめぐって・学校事務職員の視点を中心に 中村文夫
第5章 戦後公教育体制と教員管理政策の試論的検討—「分限」処分を通した教員の包摂と排除 元井一郎
第6章 特別支援教育における包摂と排除 一木玲子
第7章 幼児保育における包摂と排除—「認定子ども園」は解決策となるか 中西綾子
第8章 「心の教育」における包摂と排除—「心のノート(中学校)とジェンダー・セクシュアリティ教育を中心として 櫻井具子
第9章 地球化時代の「改正」教育基本法における包摂と排除の論理 国祐道広