「町田市事業仕分け」に対する疑問と懸念

私(伊藤)は、7月27日に行われた「町田市事業仕分け」を傍聴させていただいた。その場で感じたことは以下の諸点である。(なおこの意見は8月20日の、まちだ自治研究センター主催のシンポジウムで報告したものである。ここでは、おもな論点だけを報告したい.。写真はまちだ自治研究センター主催のシンポジウム)。

1.「構想日本」が開発したツールである。
讀賣新聞の紹介記事には、石阪市長は「第三者機関」と述べたと報道されているが、いわゆる第三者機関ではない。「町田市事業仕分け」を行った20人、コーディネーターも含めると24人は、すべて「構想日本」が派遣した「構想日本事業仕分けチーム」に過ぎない。
2.「仕分け人」はどういう人なのか。
少なくとも、「チーム」メンバーの所属はすべての人が明確でないといけないのではないか。
3.対象事業の選択はどのように行われたか。
「仕分け」の対象に取り上げられた34事業は、行政内部でどのように選定・選択されたのか、少なくとも傍聴者には説明されなかった。事業選択は市民にとって透明でなければならず、市民や議会に対する説明責任を果たすべきである。
4.市民参加がまったくなかった。
 「仕分け」人には町田市民は入っていない。会場によっては傍聴者から意見を募ったところもあった(2会場?)が、傍聴者は市民とは限らないし、傍聴者に受付で配布された資料には「傍聴者からの質問は受け付けない」とあった。
5.6通りの「仕分け」がよく分からない。
 ①不要、②民間、③国、④東京都、⑤町田市(要改善)、⑥町田市(現状)の6通りの選択肢が用意され、34の事業は必ずどれかに評価・仕分けされた。しかし、国や東京都という「仕分け」は理解できない(東京都に仕分けされた事業は実際にはなかったが)。
6.不要事業とは何か。
 「不要」と仕分けされた事業が5事業もあった。中小企業経営支援事業、児童手当支給事業、博物館管理事務、社会福祉協議会支援事業、狭あい道路拡幅事業、である。これら事業は、本当に不要であろうか。また「民間」は、事業委託ではなく、事業として必要であっても行政が行う必要のない事業という位置づけだが、これにも疑問がある。
7.今後のプロセスが不明確である。
 今回の「仕分け」の冒頭の市長のあいさつの中で、今日の「仕分け」の結論が市の結論になるわけではなく、また来年度予算にただちに反映されるわけでもない旨、考え方が披瀝されてはいた。しかし、今後の町田市政の中でどのように取り扱うのか、明確ではない。
 以上