分権と自治体改革−行政効率化と市民参加

坪郷實さんほかの編集で、標記の本が出版された。本書はドイツの分権改革、行財政改革の実践例を日本との比較も含めて分析し、その上で市民参加について、ドイツにおける理論的、歴史的な分析を行い、日本との比較が試みられている。
今日の日本的状況、たとえば「義務づけ・枠づけ」の見直しをめぐる論調について、分権改革だけでなく、市民参加の観点からどう考えたらいいのかなどについて、さまざまな示唆を与えてくれるだろう。

分権と自治体改革−行政効率化と市民参加
 法律文化社刊 定価:本体2,900円(+税
 坪郷實+ゲジーネ・フォリャンティ=ヨースト+縣公一郎 編

目次
はじめに 坪郷實
 第1部 自治体の最構築
 第1章 市民自治体の独日比較−構想と実践 ゲジーネ・フォリャンティ=ヨースト
 第2章 改革圧力の下にあるドイツの地方自治−近年の市民参加と経済効率化の傾向 ヨルク・ボグミル
 第3章 地方分権改革と財政制約−地方政府の任務に応じた財政保障−片木淳
 第4章 ドイツ自治体の効率化−「新制御モデル」と民営化に関する考察 サビーネ・クールマン
 第5章 自治体行財政改革の日独比較−ベルリンと東京の水道事業を事例として 宇野二郎
 第2部 自治体と市民参加
 第7章 伝統あるパートナーシップ−ドイツにおける地方自治と市民参加 アネッテ・ツィンマー
 第8章 日本における「民間団体」の歴史的位置−社会保障をめぐる「私」と「公」を素材として 久保純一
 第9章 古くて新しいローカリズム−ドイツにおける非政党系自治体有権者グループの役割と重要性 マリオン・ライザー/エヴェルハント・ホルトマン
 第10章 都市空間における市民参加−日独比較 フンク・カロリン/川田力/油井義通
 終 章 分権と集中の均衡 縣公一郎