☆(*^_^*)☆あるあるある〜さわやかな秋の朝〜

先日このブログでご紹介した、中村久子さんの自伝『こころの手足』が届きました。

2歳の時の病気のために、手は肘から足は膝から先を失なった中村久子さんは、見世物小屋の芸人として生き、昭和43年3月に71歳で生涯を閉じました。彼女が結婚し、娘さんも育てていたことは、自伝を読んで初めて知りました。

彼女の自伝の最後のページに記されている、中村さんの詩「ある ある ある」をご紹介します。(かっこの中は、本文に付されているよみがなです。)

「ある ある ある」

さわやかな 
秋の朝

「タオル取ってちょうだい」
「おーい」と答える
良人(おっと)がある

「ハーイ」という
娘がおる

歯をみがく
義歯(いれば)の取り外し
かおを洗う
短いけれど
指のない

まるい
つよい手が
何でもしてくれる
断端(だんたん)に骨のない
やわらかい腕もある
何でもしてくれる
短い手もある

ある ある ある

みんなある
さわやかな
秋の朝

(『中村久子自伝こころの手足』普及版 春秋社 1999年 より)