地域資源を使ったアートプロジェクトを見る際には、アーティストが、あえてそこで作品を展示する必然性が感じられるかどうかが気になります。特に今さっき「予習」を行ってきたばかりなので、なおさら銅山の社宅という場所性を、表現者がどのように活かしているか注目しないではいられませんでした。その点で特に興味深かったのは、狩野仁美さんによる、「勤労者の眠り」と題したインスタレーションでした。部屋の障子に、先ほど見て来たばかりの製錬所の建物が浮かび上がり、中央に敷かれた布団には、赤茶けた銅のような色が染み付いています。
人の住まなくなった社宅の庭は、深い雑草に覆われていました。(曽我)