ドキュメンタリー映画『クアリ』
映画の舞台であるクアリ村の「クアリ」とは、英語の「Quarry」「石切り場」という意味。昔、米軍がスービック海軍基地の護岸工事をした際に、この地の山から石を切り出したことから、そう呼ばれるようになりました。そして、辞書で調べると、「Quarry」には 、「知識、資料などの宝庫」という意味もあります。 私にとってこの地での撮影は、米軍の撤退に伴う生活の変化によって風化しつつある米軍の記憶を村人たちの心の奥底から掘り出す作業でもありました。そして、村人たちが米軍と共に生きた日々の記憶こそが、多くの米軍基地を抱える我々日本人が米軍のことを知る上での貴重な「知識」や「資料」となるのです。
◆監督:中井信介
1967年京都生まれ。93年よりフィリピンや北方四島の民衆の暮らしを取材。96年、第一回アジアウェーブ賞受賞。04年、フィリピンの米軍演習場跡地に暮らす不発弾被害者を描いたドキュメンタリー映画「クアリ」を制作。短編ドキュメンタリー「がんばれ!ファンセウル」で「国際人権教材奨励事業AWARD2006」を受賞。