《低学年造形クラス》
日本の昔話『米良の上ウルシ』
ここでは「にじみ絵」でない技法にも挑戦しています。絵は、お話に出てくる「木彫りの龍の置き物」を描いたものです。木彫りで作る時のように、ここでは形から入っていきました。太筆で龍の流れるような体を一気に描いた後、目やうろこなどをいろんな色で描いていきました。
お話では、この木彫りの龍が、高価なウルシの溜まっている淵の底に沈められます。するとその龍に、いつの間にか魂が宿り、本物の龍になってしまいます。その龍が、淵の底のウルシを採って私腹を肥やそうとする、貪欲な人間たちから、ウルシを守る、という内容のお話です。
子供たちは龍を描くのがとても好きで、男の子は特にそうです。龍は昔から神様、またはその使いとして、崇められてきました。それは単なる空想の生き物ではなく、宇宙、自然に表れている流動的な創造力と深く関係しているようです。昔の人たちは、自然を通してその力を直接感じていたのでしょう。しかし、西洋文明化とともに、いつしか龍は退治せねばならない存在となってしまいました。機械化、分散化が進む現代社会において、龍の自然力は新しい気づきをもたらしてくれるかもしれません。
細井信宏