1月の造形クラス

【中・高学年造形クラス】
 今回は全6回にわたって行ってきたアフリカシリーズを皆で振り返りました。標高5000mを超える山々、熱帯雨林、サバンナ、サハラ砂漠とそこに生活する人々。そしてそんな大地を蛇行しながら流れ下るナイル川。雪に覆われたその山々から始まるその流れは森を抜け、サバンナ、砂漠を通り、最終的には海へと流れ出ていきます。そんな川がもたらしてくれる壮大な恵み。 
 制作では『河口付近の海』をテーマに、パステルを使って制作しました。そこには上流から運ばれてきた栄養分を求めて様々な魚が集まってきます。そんな海底風景をイメージしながら描き進めていきました。
 中・高学年クラスでは地上の自然の美しさ、素晴らしさを造形活動の大きなテーマとして位置づけています。精神の暖かいぬくもりと光に満ちた世界から、地上の世界へと降りてくる子供たち。闇と遭遇する思春期へと向かう途中、天と地の間には、有機的自然界がその美しい姿を現しています。親から離れて周囲の世界を探検し始めるこの時期には、とても大切なテーマであると考えています。

【低学年造形クラス】 
10月、11月と続けて聖フランシスのお話をしてきましたが、今回がその最後。
 『貧しい人々や病気で苦しむ人々を世話し励ましながら生きるフランシス。その姿に魅せられた一人の女性、クレア。彼女は山の上の大きなお屋敷で、町で働く彼の姿をいつも見下ろしていました。ある時彼女は裕福なその家を出て、彼とその弟子達と一緒に働くことを決心します。月日は廻りある寒い冬、フランシスとクレアは病人の看病で帰りが遅くなり、途中、水とパンを求めて家々を回るのですが、人々にはなかなか理解されず、背後から二人の悪口すら聞こえてきます。雪に覆われた町、頬を突き刺すような冷たい風が吹き抜けます。クレアの目には涙があふれています。「バラの花が咲く次の夏までお互い離れていたほうがよいかもしれません。」フランシスがそう言ったかと思うと、雪に覆われた周りの生垣に、真っ赤なバラが咲き始めます…。』
 一体どうしてこんな真冬に真っ赤なバラが咲いたのでしょうか? 誰がバラを咲かせたのでしょうか? この質問に子供達からこんな回答が帰ってきました。「分かってるで、それ、こころやろ?」「かみさま?」心の無意識の領域を開放しているこの時期の子供達にとって、このような神秘的要素はとても大切であると考えています。今まではギリシャ神話、ポリネシア神話などをもとに絵画制作をおこなってきましたが、今回のお話ではキリスト教が土台となっています。この造形クラスではこのように世界の様々なお話から、精神の温もりを水彩を通して体験することを大切にしています。思考で分析、区別化するのではなく、子供達が感覚と感情を使ってその普遍性を体験することを一つの目標としています。