6/5(報告) 新作講談「金子みすゞ〜みんなちがって みんないい〜」

(%音符2%)(%音符2%) 新作講談って・・・?と思っていた。
講師の一竜斉春水さんの解説によると、講談にも古典と新作があり、古典はこれまで男性が演じてきた古来からあるもので、武士が武士に戦いの状況を教えるために始まったといわれる。

講談は、男性が語るようにできているので「山内一豊の妻」の講談には、妻千代の姿はほとんど出てこないという。これを、女性の目線で見直したいと考え、元の講談に足りないものを入れるということで、女性の姿を入れて語りやすくすることや新しい話を納得いく形で作りたいと春水さんは考えていた。

そして新作講談「宇宙戦艦ヤマト」や、差別の激しかった時代に障害を持つ身体で子育てしながら仕事もしていた「中村久子の生涯」の新作講談にも挑戦した。
また、乙武さんの著書「五体不満足」から、前向きに生きることを学び勇気ずけられたというお話の後、講談の一節の語り方を手ほどきしていただき、本題の「金子みすゞの新作講談」の語りに移った。

声優という、気持ちを言葉にしてドラマティックに伝える場で活躍され、芝居や朗読の豊富な経験をされて磨きをかけ、女性の優しさや強さを見事に表現した素晴らしい声で、みすゞの詩を織り交ぜながら語る「みすゞの生涯」に会場の参加者は春水さんの世界に引き込まれ、感動し、惜しみない拍手を送った。

(%音符2%)(%音符2%)講談の中で語られた「金子みすゞ」の詩の一部を紹介します。

<こころ>
おかあさまは おとなで大きいけれど おかあさまのおこころはちいさい だって、おかあさまはいいました、ちいさいわたしでいっぱいだって
わたしは子どもでちいさいけれど、ちいさいわたしのこころは大きい
だって、大きいおかあさまで まだいっぱいにならないで いろんなことをおもうから。

<大漁>
朝焼け小焼だ 大漁だ 大羽鰮(いわし)の大漁だ。
浜は祭りのようだけど海のなかでは何万の 
鰮のとむらいするだろう

<わたしと小鳥とすずと>
わたしが両手をひろげても、お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、地面(じべた)をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのようにたくさんのうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい。

<星とたんぽぽ>
青いお空の底ふかく、海の小石のそのやうに、
夜がくるまで沈んでる、昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ見えぬものでもあるんだよ。
 
散つてすがれたたんぽぽの、瓦のすきに、だァまって、
春がくるまでかくれてる、つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ

金子みすず記念館
http://www.city.nagato.yamaguchi.jp/misuzu/index.html