働く女性のための相談・交流事業を行ってきた「女性と仕事の未来館」(東京都港区)が、今年度末で閉鎖される。利用者からは惜しむ声が上がっている。
1月下旬、同館で行われたイベント「未来館フェスタ」で、渥美雅子館長は「最後の」という言葉を繰り返した。昨年11月の政府事業仕分けで「閉鎖」の判定を受け、毎年行ってきた同フェスタは11回目の今年で、最後となったためだ。
同館は男女の雇用機会均等を目指し、旧労働省が2000年1月にオープン。女性労働の専門図書館や近現代の働く女性の歴史を解説する展示コーナー、民間にも貸し出すセミナー室やホールなどを備えている。全国から集めた戦前・戦後の女性労働関連資料は約7000点になる。
主婦向けの再就職支援講座や働く女性のための健康セミナーなど、年間で約120回のイベントを開催。またキャリア・カウンセリングなど女性の就業支援活動を続けてきた。だが事業仕分けでは「存在意義が不明確」「ハコモノの時代ではない」などとして、「事業の廃止」と「館の閉鎖」という判定を受けた。
厚生労働省は判定を受け、3月末で同館を閉鎖し、一般向けの事業は廃止する。図書・労働関連資料は今後も保管し、図書館や展示コーナーは、希望すれば利用できるようにする。館内を改築し、将来的にはハローワークの入居を見込んでいるという。
初代館長を務めた評論家の樋口恵子さんは「未来館は少子高齢化時代に不可欠な、女性の就労と経済的自立、社会参画を推進する拠点だった。将来ハローワークが入居するなら、女性の就労支援と連動し、機能強化を目指してもらいたい」と話している。 http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20110128-OYT8T00229.htm