妊婦の血液から、胎児のダウン症など3つの染色体異常がほぼ確実に分かる新しい出生前診断の臨床研究が、国内の10施設程度で始まる。妊娠10週から検査可能で、35歳以上の高齢妊婦などが対象。ダウン症の場合、99.1%の精度で検出する。
従来の検査法と違い、妊娠初期に採血だけで診断できるため、中絶という「命の選別」につながる懸念がある。
臨床研究は、国立成育医療研究センター(東京)や昭和大(同)、名古屋市立大、北海道大などが、10月中にも実施する。高齢出産や、以前に染色体異常の子どもを出産した妊婦などが対象で、費用は21万円。
日本産科婦人科学会は、新型出生前診断について「検査が広範囲に実施された場合、社会に大きな混乱を招くことが懸念され、マススクリーニング(集団検診)としての安易な実施は厳に慎むべきである」との声明を発表。医療者や妊婦には「胎児の生命にかかわる社会的および倫理的に留意すべき多くの課題が含まれている」として、慎重な姿勢を求めている。
日本ダウン症協会は、新型出生前診断が「安易に行われたり、義務化されたりすることには反対」の立場だ。 http://opi-rina.chunichi.co.jp/topic/20120925-1.html
◆日本産科婦人科学会/「新たな手法を用いた出生前遺伝学的検査について」声明
http://www.jsog.or.jp/statement/statement-shussyouzenshindan_120901.html
◆日本ダウン症協会HP
http://www.jdss.or.jp/
◆日本ダウン症協会要望書
http://www.jdss.or.jp/info/201208/youbou.pdf