特養の待機者急減 実態調査へ

52万人とされていた特別養護老人ホームの入所待機者が全国各地で急減している問題で、厚生労働省は特養待機者の実態調査をすることを決めた。要介護1、2の軽度者を除外した結果、待機者が減っている実態を今秋までにまとめる。結果次第では、費用のかかる特養の整備が抑制される可能性もある。

 厚労省高齢者支援課などによると、待機者数や特養ホーム入所の優先度、申込時期、所得の程度などについて、都道府県を通じ全特養ホームを調べる。
複数の特養に入所を申し込む人もいるため、同一人物かどうかチェックして、希望者の実数に近づける。「優先度」では入所の必要性の度合いや、他の施設での対応が可能かどうかを調べる。国として「優先度が低い」と判断した人数分は特養の整備対象から除外するねらいがある。
 厚労省は、2014年時点の待機者が52.4万人との調査をまとめ、要介護3以上の重度者で在宅の15.3万人を「緊急に入所が必要」と判断した。これに基づき、安倍政権が打ち出した「介護離職ゼロ」で、20年代初頭までに12万人分の施設・在宅サービスを整備するとしている。このうち特養を何人分整備するかは決まっていない。
 高齢者支援課は、「待機者が減ったとはいえゼロになるわけではない。特養は依然、人気が高いとは認識している」とする一方、「大きく減ったとわかれば、それだけ整備するのかという話になるかもしれない」と話し、結果によっては特養の整備を進めない可能性を示唆した。
 介護保険制度の財政難から、厚労省は要介護1、2の軽度者の特養入所を原則認めない方針を昨年4月から実施。待機者減の主因の一つとみられている。
 特養は国と自治体が整備を補助する公的施設で、月6万〜8万円での入所も可能。民間主体の有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅は月十数万〜二十数万円かかり、低所得者は入れない。実態調査が反映されれば、行き場のない高齢者が増える恐れもある。
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