認知症などで判断能力が十分ではない人の生活を支える成年後見制度をめぐり、最高裁判所は18日、後見人には「身近な親族を選任することが望ましい」との考え方を示した。後見人になった家族の不正などを背景に弁護士ら専門職の選任が増えていたが、この傾向が大きく変わる可能性がある。
これまでは各家庭裁判所が親族らの不正を防ぐ観点から専門職の選任を増やしてきた。だが、制度の利用は低迷。こうした中で、国は2017年に利用促進の計画を策定し、見直しに着手した。利用者がメリットを実感できる仕組みに変える一環として、最高裁は今回初めて選任に関して具体的な考えを表明した。今年1月に各地の家庭裁判所に通知したという。
最高裁は基本的な考え方として、後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましいと提示。また、後見人の交代も、不祥事など極めて限定的な現状を改め、状況の変化に応じて柔軟に交代・追加選任を行うとする。昨年6月〜今年1月、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会など専門職団体と議論を重ね、考えを共有したという。
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◆〈成年後見制度〉 介護保険と「車の両輪」で超高齢社会を支える仕組みで、2000年4月に始まった。認知症や知的障害などで判断能力が十分ではない人に、預貯金などの財産管理、福祉サービス利用、施設入居契約などの支援をする。判断能力の度合いに応じて、「後見」「保佐」「補助」という三つの種類がある。制度利用の申し立てができるのは本人と配偶者、4親等内の親族ら。判断能力があるうちに将来の後見人を決めておく「任意後見」もある。朝日新聞用語解説