中国武漢で発症し、瞬く間に野火のように全世界に広がった新型コロナウイルス。日本も例外なくその渦中にある。
●「7割」なら2か月かかる
政府は「緊急事態宣言」を全都道府県に拡大した。期間は当初の7都府県と変わらず、5月6日まで。政府はそれまでの間、人と人との接触を8割削減することを目標に徹底した外出自粛を国民に求めている。
見えざる未知のウイルスとの闘いは長期戦になるとの見通しも専門家らから聞こえる。「緊急事態宣言」は5月6日に無事解除されるのか。17日の首相会見での発言や質疑を中心に考える。
政府は新型コロナウイルスの感染爆発を防ぐために、5月6日までの間、人と人との接触を「最低7割、極力8割」減らす目標を打ち出している。安倍首相は前回7日の会見で「緊急事態」を1か月で脱するにはこの目標の実践が前提だと述べ、そうすれば「2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と語っていた。
「1日当たりの新規の感染者数は、まだ減少には至っていない。東京都では(17日に)過去最高の200人を超える感染者の報告があった。
「緊急事態宣言」を全国に拡大したことを踏まえて、ゴールデンウイーク時期の旅行や帰省などの移動も控えるよう求めた。それは医療崩壊を防ぎ、結果的に自分たちの命を守ることにつながると説明した。
政府の「8割削減」目標の根拠となる試算をしたのは、厚生労働省のクラスター対策班メンバーで北海道大学教授の西浦博氏だ。
「(削減幅が)8割だとだいたい1か月で物事が終わるのに対して、7割だと2か月程度かかってしまう」と述べ、「宣言」の5月6日までに感染を抑制させるためには、あくまで「8割削減」が必要だとの認識を示している。
尾身会長は「今見ている(感染)報告数は2週間前のもの。(感染者数の推移を示す)いわゆるエピデミックカーブ(流行曲線)が、当初に比べてそのまま平坦なのか、下がらないのか、下がっても期待するような下がり方をするのか。まだ評価するのは早すぎる。5月6日頃にはだいたいのことが言える。その評価をもとに政府に提言したい」と説明した。
「感染が仮に下火になっても、その後、全くゼロになるということはあり得ない。小さな山がまた何度か繰り返してくるということは、当分覚悟をしておいた方がいいと思う」