GOTEN マップ・プロジェクト

宮城県北部の温泉地・東鳴子温泉を舞台に繰り広げられる「GOTEN GOTEN アート湯治祭」。
私は2005年の12月にはじめてこの地を訪れてから、まる2年、この「アート湯治祭」にかかわってきて、また今年もすでに企画はスタートしているのですが、これまでに「通い湯治」と称して毎月通ってお風呂に入ってまちの人と話したり、四季折々のすばらしい風景にふれたりしてきました。
こうした私という外部の目を通して見てきた東鳴子、「アート湯治祭」を、とりあえずは流れ行くブログというかたちで発信してはいるのですが(こちら)、何かひとつの「成果」としてまとめられないかなと思い始めました。

そこで思いついたのが、複数のマップに私の見たものを落とし込んでいく「GOTEN マップ・プロジェクト」です。
例えば、旅館や商店のマップなどには、私が知りえたオーナーの情報や顔が掲載され、「アートin湯治」のマップには、過去2年間と今年のアート作品がアップされていきます。
地図は、ある場所の見取り図であるとともに、常に古くなっていくもので、しかしそれを同じ地図上に記すことで、地図が場所と時間というふたつの軸の記憶をとどめていけるように思うのです。

東鳴子のもっともホットで有益な情報をマップ上に、というのもおもしろいかもしれません。
実際には東鳴子のネット環境はそれほど整っているわけではないので、宿泊客がそれを利用できるかといえば、難しいわけですが、しかしそういった実際的な話よりも、実際にそこに住んでいる人よりも耳よりの情報を、実際にはそれを有効に利用できない東鳴子へ行くことも当面はないネットユーザーの方がよく知っている、というヴァーチャルな状況が出現してしまう、というのが考えるだけでおもしろい気がします。
ヴァーチャルな世界ですべてを知ってしまったかのように考えることには批判がありますし、私自身、リアルな体験の方がずっとおもしろいと言いたいのですが、しかし、そうして東鳴子にもしかしたら一生行かないかもしれない人が、詳細なネット上の情報を通じて東鳴子に住む人のことを、まるで近所の親しい人のように知ること、そうして感じる感情は、もしかしたら今の時代状況を考える上で、大切なことのように思います。世界のニュースを詳しく知りながら、しかし一度もその場所に行ったり、そこに住む人に会ったりもしない、ということはざらにあることなわけで、それは世界を自分の世界と感じる機会が増す状況として、積極的に評価されるべきことだと思うのです。
がんばって充実させていきたいと思います。とりあえず、「参加企画募集ページ」の一部としてスタートしており(こちら)、おいおい内容が充実してきたら、「マップ・プロジェクト」として運営していく予定です。
門脇篤