派生的に街の仕組みが変わる

福岡市芸術文化振興財団というところで発行している機関紙「wa」。せんだいメディアテークに置いてあるので時々もらってきて読んでるのですが、今回は「文化と共に活きるまち③ 茨城〜アートが地域に染みこむ仕掛けづくり」ということで、とてもいいレポートでした。
特に水戸芸術館の主任学芸員・森司さんのインタビューはたいへんすばらしく、「単にアートを見て美しいということではなく、アートを利用するとか、アートをキーワードに様々な関係性を持っていけるようになることを僕たちは目指しています。」「アート単体では街を変えることは無理でも、アートを選択肢として、違う価値観のものが触れ合うことで、クリエイティブなものがポッと出てくる」「(アートをやっている側の)本気度がわかるような仕掛けづくり」というようなあたりがたいへんうなづけます。
また、アーティスト・藤浩志さんの、空き店舗を活用した有償アトリエ事業についての「アートプロジェクトは直接ではなく、こんな形で派生して、街のしくみが変わっていくんだ」という感想もいいですね。
アートが街を変えていく、というのではなく(それは比ゆ表現とでもいうべきもので)、もっと正確に言うと、アートとまちとが出会うことで、お互いに何かが「派生的に」生まれるんですね。そこが大事だと思います。
門脇篤