四川大学の先生方のお話(1)

被災地は300kmにわたり、被災面積は4万平方キロメートル(ちなみに日本の国土は37万平方キロメートル)。被害家屋数は1400万戸あるが、そのうち300〜400万戸が山岳地帯に分散しており、救援が滞りがちである。

行政単位は、市−県−郷−村。それぞれの単位に救済事務所がある。海外救援にはその救済事務所の許可が必要。

被災地は、3つのグループに分けてはどうか?
 1)中心地域
 2)中程度地域
 3)遠隔地域

1)中心地域:山崩れ多発、地震湖形成、日本と地形が似ている、雨も多い、8月に二次災害を心配。再建が難しいからこそ注目されるしチャレンジングでもある。
 都江堰(64万人)には大きな文化財が2つある。文化を大切にする街、水の街(2000年前始皇帝の時代に李氏が治水事業)、道教の発祥の地でもある。都江堰市で全壊した家は、家が粗末だから崩壊した。ただし、そもそも、土地の所有権が人口の増減によって変動するから、建物や土地への執着がない。従って、廉価なものを建設する傾向にある。今現在は、余震を怖がって誰も家に帰らない(街の中でテント暮らし:写真)。事実、95%の家が住めないと判定されている。日本との共通性も強いので日本式家屋の導入を考えても良いと思う。

2)中程度地域=村や郷レベルに注目してはどうか
 
 都会から農業体験に訪れる人が多い地区。綿竹は、観光、文化、産業、農業にコミットした再建が重要ではないか。綿竹の街は蜀 諸葛孔明ゆかりの地、都江堰と比較してもいいのではないか。四川省の代表的農業地域でもある(米作中心)。

3)遠隔地域

 北部の遠隔地は応援の仕方が変わるだだろう。なぜなら、死者が多いし、村ごと埋まっているところが多い(地震湖が30個できている、最大のものは水が1万立方メートル以上溜まっている)。

 政府の命令で集落からの移動が始まっている。交通の不便な場所への移動もある。例えば、諸葛孔明が守りの地としたところ、そのくらい不便。住民の意見は言えないのか?→湖底に沈んでいるので移転に反対はできない。いかに限られた土地の中でより良い生活を再建できるかがポイント

 日本にはこういう場所が多いと思うから、日本政府から意見を言って欲しいと思っている。技術的なアドバイスは受け入れやすい(移転先の安全判定など)。ただ、社会科学的なことは土地の所有制度が異なるので受け入れにくいかもしれない。
 
 家造りは建物のみではなく、生活全体(養豚、養鶏など)をシステムとして理解した上で応援して欲しい。例えば、年間収入が100元だとして、50元は出稼ぎ、30元副業(養豚、養鶏)、20元農作業(米、陸稲、とうもろこしなど)であることを理解して欲しい。

 新しい収入限として観光農業的なことをしている場合もある=「農家楽」という。

 建物の素材として、日本の素材とともに現地の素材を活かすようなアドバイスを。

 政府・民間 X 日本・中国 4つのパターンで復興を目指したい。