四川大学の先生方のお話(2)

痛みや支えについて伺いました。

◎被災者の痛み
 被災者の痛みを3つにわけて考えていると説明がありました。ショッキングな数字もあります。
 1)家族や親戚を失った痛み
 婦人・子ども・老人に多い
 2)身体・健康を失った痛み
 死者・行方不明者・負傷者で34万人
 10万人が障害者になる。四川省には財力がない。が、一生にわたる援助を
 3)家を失った痛み
 家には先祖代々の集落、田園、先祖の墓、山、記憶など「心の芯」まで失ってしまった。
 
痛みを抱える人々の総数は1,400万人にのぼる。そのうち500万人は財産すべてを失った赤貧の状態。

◎四川の人の特徴 
 災害に対して強いと思う。なぜなら、勤勉、忍耐強く、苦労を惜しまず、明るい。文(さんずい)川中心部に少数民族が多い。少数民族は宗教をもっている(チャン族、チベット族)。宗教的な強さが心理的復興にとってプラスに働きそうではある。それに対し、漢民族は宗教をもたない弱さがあるかもしれない。

◎心の支え 
 災害のショックの受け入れは、都市人が弱く、農村人は強いように思われる。
 現在のところは、
 1)地球レベルで関心を持ってもらえていることが心の支えになっている
 2)各政府単位が積極的に関与していることも支えになっている。
 中国人の心の支えは、民族、組織、リーダーであろう。中国人は、上記3つの帰属する傾向が強い心性をもっている。中国流の心のケアが必要だと思う。

◎死についても伺ってきました。
 葬式は大切。家族だけの行事であったものを、今回は集落で執り行ったことが遺族の慰めになった。葬式そのものの中身も大事。たとえば、冥界のお金を燃やす(=それを使って生活できる)といったことが、村のレベルで自発的に行われた。これが遺族の心にとってプラス。中国の歴史や文化を踏まえた心のケアが必要だろう。