7月11日(金),西宮市大学交流センターにて,「岩手・宮城内陸地震報告会」(主催:(特)NVNAD,共催:(特)レスキューストックヤード,震災がつなぐ全国ネットワーク,被災地NGO恊働センター)を開催しました.平日にもかかわらず,多くの方にお越しいただきありがとうございました.皆様の熱い思いが伝わってくる報告会でした.

中越沖地震被災地の新潟県刈羽村や岩手・宮城内陸地震被災地の宮城県栗原市で活動に関わる浦野愛さん(レスキューストックヤード),戸口京子さん(NVNAD),佐藤葉子さん(刈羽村社会福祉協議会)をスピーカーとしてお招きし,ご報告いただきました.残念ながら,それぞれの内容すべてにふれることはできませんが,いくつかのポイントをお伝えします.

●被災地に合った取り組みを
被災地に災害ボランティアセンターを立ち上げることのメリットは大きいが,「立ち上げ」のみが注目され,立ち上がらないことをマイナスに評価する風潮が目につく.しかし,被災地ごとに状況が異なるため,それぞれの被災地に合った組織作りと取り組みを重視する必要がある.

●「外部ボランティア」にできること
被災地外からかけつけるボランティはいずれ被災地を去っていく.そんな「外部ボランティア」に何ができるのか.それをいつも自問自答しながら活動を続けてきたし,今も考え続けている.阪神・淡路大震災から13年が過ぎ,災害時にボランティアや地元団体がなすべきことがある程度マニュアル化されつつある.しかし,それを被災地に厳密に当てはめようとすることは,かえって地元スタッフを追い詰めることもある.外部ボランティアは,被災地支援に長期的ヴィジョンを示しつつ,地元スタッフや被災者の声に耳を傾け,「そっとみまもる」ことも必要なのではないか.

●地元スタッフをサポートすること
被災地の社会福祉協議会職員に代表される地元スタッフは,自らが被災者であるにもかかわらず,支援者としての活動も求められ,その精神的,身体的な負担は計り知れない.外部ボランティアの重要な役割のひとつは,こうした地元スタッフへのサポートである.もちろん,ノウハウを伝えることの重要性は言うまでもないが,その際に,効率性のみを求めるのではなく,「被災地のペースに合わせる」ことが地元スタッフの負担を軽くする.

スピーカーである3人の言葉から,「被災地の声に耳を傾けること」,「被災地のスピードに合わせること」,「被災地の求めることを知ること」がいかに大切かを改めて気づかされました.被災地で出会い,そして信頼で結ばれた3名のスピーカーの皆さんに深く感謝いたします.

阪神・淡路大震災から13年,私たちはもう一度,災害救援の原点に立ち戻ることが必要なのではないでしょうか.「そっとしておくこととほっておくことは違う」という外部ボランティアの言葉,「そばにいてくれるだけでいい.みなさんに感謝したい」という被災地からの言葉… 我々は,これらの言葉から学んでいきたいと考えています.