5・12四川大地震「草の根社会応援ネットワーク」会議の報告

7月25〜26日にかけて、四川大地震の報告会が北京市順義区
義湾農場で行われました。

主催は中国社会科学院社会学研究所、社会文化人類学センター
です。25日午後15時から19時は現場経験の紹介。26日午前8時
から12時は、現場経験に基づいて今後の対応について意見を
交換しました。今回は様々な背景を持った各領域の専門家が
参加され大いに盛り上がりました。

中国社会科学院の羅紅光先生が司会を担当されました。中国科学院心理研究所、大阪大学、中国疾病予防コントロールセンター、甘粛省代表、崇徳基金会、中央放送局新聞調査番組、中国農業大学、友成企業家救貧基金会、中央民族大学、北京林業局国際プロジェクト、中国社会科学院「公共サービス社会化」プロジェクト、北京震旦紀公益情報技術センター、アジア協会・アジア友の会、米国ノースカロライナ大学人類学、
上海大学の関係者が出席しました。司会から自己紹介と流れを説明したあと、それぞれご発言頂き、そして自由議論の時間は、皆様から色々な話が出ました。地震直後のこと、1年、5年、10年後のこと、これからやりたいことなどでした。

私達は、国家や制度など大きな物語に回収されない、被災者お一人お一人のことを大切にするいわば小さな物語の積み重ねが大切ではないかと提言しました。今の中国は北京オリンピックの一色に染まっていますが、終了後は人々の関心が四川の復興に集まってくるかという問いもありました。「今我々ができることは何かを明確にし、そこから現地の人々の中に入ることが一番」という羅先生の言葉に共感を覚えつつ終了しました。

以下、ご発言のポイントを一部ご紹介した後に、キーワードを共有したいと思います。

○時間が経つと、被災地への注目が薄くなり、忘れられそうだ。
○都市と農村の復興の仕方の違い⇒農村には、都市モテルが当てはまらない。
○大きな物語から小さな物語への注目⇒具体的な事例を見るべきだ。
○阪神・淡路大震災からの経験に照らしてみても、ボランティアは国家統制の一部分 になるではなく、自分の意思で動けるように状況を整備して欲しい。
○政府の制度を実施することではなく、被災地の人々と絆を作ることが大事だ⇒日本の被災地の人々との交流事例を参照。
○生活環境の改善と生活スタイルの保護を区別すべきだ。
○中国はエリート主義の国。まずエリートたちを育て、そこから一般住民まで影響を届ける
○政府と住民の中間に入る人がいるべきだ。

自由議論の時間は、色々な話が出ました。地震直後のこと、1年、5年、10年記念のときのこと、これからやりたいこと。今の中国は北京オリンピックの一色に染まっているが、それが終わった後はまた人々が四川の復興に注目が集まってくるのかという意見もありました。

救援も復興も地域との交流もすべては、住民の方々と声をかけ合うことから始まります。今回の「草の根」という意味は、政府関係ではなく、我々が自分の考えから動き出す救援復興活動ではないかと感じていました。私としましては、「自分が今できることは何か」ということを改めて考える契機となったことが今回の報告会で一番の収穫でした。