青森県への支援を検討しています.

これだけの広域災害です。大規模な支援の網からこぼれ出てしまう地域や集落も出てくるので、そうした地域にもきめ細かく支援の手を差し伸べて行きたい。こんな思いから、今回、青森県や岩手県北部に向けた支援を考えました。

○青森県八戸市へ

実は、この地方の中心都市・八戸とは、NVNADは浅からぬご縁があります。阪神・淡路大震災のとき、西宮の中学生を八戸青年会議所(JC八戸)が受け入れてくれたのです。夏祭りのほんの短い時期でしたが、祭りや地引き網など、参加した中学生たちには思い出に残る訪問でした。その時のお返しをしたい。阪神地域からこの地域への被災地のリレーを考えたい。そう考えました。

そんな思いを胸に、まず、八戸市災害ボランティアセンターを訪問。災害ボランティア活動で以前からお付き合いのある山下祐介さん(弘前大学)が同行して、地元の事情を説明してくださいました。

○八戸市災害ボランティアセンター

災害ボランティアセンターは、八戸市と八戸市社協との協定(平成22年度より)に基づいて発足。八戸市役所から2名常駐し、近隣に物資がある限り物資は市役所が調達。また、青森県社会福祉協議会から1名が常駐し、同社協議会の依頼で県内市町村社協から3人が交替で詰めることになっています。地元の災害ボランティアネットワーク(県の研修修了者)、赤十字、JCと連携し、受付、ニーズ、マッチング、総務などに別れて運営されていました。17:30から連絡調整会を行い、その後の整理作業は、外部から派遣されている人々が行うという仕組みになっていました。ボランティアは、これまで891人が登録、のべ1320人が活動しました。19日、20日は、地元の高校生などが動いてくれたので、一時ボランティア募集を中断しましたが、22日に再開。現在、約200人が活動されています。ボランティアは、基本的に、八戸市民で、活動内容は、津波被害への対応に限定。津波被害地区へバスを運行し、個人宅の泥だしと清掃を支援しています。難所所は、各地区で見守っておられます。こうした話を、市社会福祉協議会の柳町信廣さん(常務理事)、同浮木隆さん(事務局次長)から、伺いました。あわせて、今後、中長期的な支援の過程でNVNADがお手伝いできる可能性についても協議しました。

○八戸JCの1995年理事長と面談

そして、浮木さんが、阪神大震災当時、八戸JC理事長だった松井正文さんと高校時代の同級生だったといううれしい偶然に助けられ、すぐに松井さんにもお目にかかることができました。当時のお礼を申し上げるとともに、今後、たとえば、阪神地域で今回の大震災の被災地から子どもたちを受け入れるプログラムを実施したり、阪神地域と青森地域の大学生に共同チームで被災地で活動したりする可能性について話し合いました(上記の山下先生のほかにも、渥美・矢守の旧知である作道信介さんが弘前大学で教鞭をとっているというご縁もあります)。

○嬉しい連携

こうした活動のときには時折起こることですが、ボラセンでは、もうひとつご縁を感じる出来事がありました。八戸市のご近所三沢市で運送業(寺下運輸倉庫株式会社)を営む小比類巻元さん(同社代表取締役)と出会ったのです。ご親切に、小比類巻元さんは、「よかったら、活動お役に立てて欲しい」と車両のご提供のお申し出をいただいたのです。明日、八戸市を基点に岩手県北部の被災地を訪問する計画を立てながらも、車両やガソリンの算段に頭を悩ませていた私たちにとっては、まさに天の佑けでした。心から感謝です。

○八戸のNPO・市民活動団体

さらに、山下さんのご紹介で、八戸市に勤務されている柳澤さんとお目にかかりました。柳澤さんは、2011年2月11日にオープンしたばかりの市の施設”はっち”の常勤嘱託職員で、八戸市のNPO団体や市民活動に大変くわしい方です。津波で大きな被害を受けた三陸海岸の景観、環境問題について取り組んで来た団体など、直接的な被災者支援活動以外の面でも、今後の復興に向けて役割を果たされそうなNPO団体がいくつかあることがわかりました。NVNADとしましては、こうした地元で動いておられる皆さんと連携しながら、末永く支援活動を展開したいと考えております。

○弘前大学にて

今日最後に、弘前大学を訪問。作道先生、山下先生と、弘前大学の学生さんの状況や今後の大学としてのとりくみについて、お話をうかがいました。弘前大学は、新学期の開講を5月連休明けまで延期するとともに、被災した学生さんに対する学費、住居面での支援などについて考えているとのこと。今後、中越地震のとき、NVNNADが関西と中越の大学を結んで実現したような取り組みができないか、を中心に話し合いました。

○おわりに

今回訪問しております地域は、青森県東部、岩手県北部となりますが、旧南部藩という結びつき、三圏域連携(八戸、二戸、久慈)というくくりなど、県境を越えた文化や交流が続いています。支援についても、こうした結びつきを意識して検討したいと考えています。