ボランティアバスに参加された方の報告(後半)

5月3日 6時半に起床して、ホテルで朝ご飯をすませ、8時にバスに乗ってホテルを出発。 9時ごろから作業開始。 今日も泥かきと戸別訪問に分かれる。
私は戸別訪問で、2日に訪問したHさん夫婦の家へ向かい、5人で家の前の川に流れ着いたゴミを片づけたり、Hさんの家の床下の泥をかき出す作業をした。 旦那さんが今まで10日以上一人で作業をしていたようだ。 海水を含んだどろは土嚢袋がいくつもいっぱいになるくらいたくさん出てきた。 床下や川の泥からは、くしや作文、鉛筆などもでてきて、本当に日常生活そのものが流されてしまったんだと感じた。 Hさん宅でも休憩にとお菓子やジュースを出してくださったり、リンゴをむいてくださったりしたのでありがたくいただいた。 12時まで作業をして一旦バスに戻り、お昼ご飯。
昼からは昨日出会ったKさんとお昼からまたお手伝いに行きますと約束をしていたので、2人でKさんの家に向かう。 向かう前に役場へ行くと、野田村の方がコーヒーを入れてくださったので飲みながら少しお話をした。一人の方は「まわりの家は流されてしまったが、自分の家は唯一残っていた」とおっしゃっていた。「知り合いの夫婦は奥さんが先に逃げていて、旦那さんが目の前で津波にさらわれてしまった」という話も聞いて、想像するだけでつらかった。
Kさんの家へ行き、今日はキッチンやガスコンロ、戸棚などについた汚れを洗い流す作業をした。2日目ということもあって、前日よりも気さくにお話することができた。
16時まで作業をした。最後に一緒に写真をとってもらい、Kさんと手伝いにきていたKさんの甥っ子さんに「ありがとう」と言われ、2人と握手をして別れた。「バスの中で食べ」とたくさんのお菓子をもたせてくださった。
5月2日に行かせてもらったHさんの家にも最後の挨拶をしに行った。お2人とも握手をして別れた。Hさんもお菓子をもたせてくださった。もらいすぎて申し訳なかったが、いただいて帰ることにした。 バスへ戻るまでの間に出会った人にもありがとうございましたと挨拶をしながら帰った。 バスで銭湯へ行きお風呂にはいってから18時に出発し、4日の朝10時半頃に西宮市役所前に到着。皆で写真をとって解散した。
今回実質の活動期間は2日間ということでとても短かったが、感じたことはたくさんあった。 一つはボランティアをうまく活用してくれる家はいいけれど、やはり初めて会う人と話したり、家に入れたりするのに抵抗がある人もいると思うので、大丈夫ですと言っていても困っている人はたくさんいるかもしれないということ。 そういう方にも心をひらいてもらうには2日では短いと感じた。
もうひとつは、これは反省会で他の参加者も言っていて気づいたことだが、被害の状況は1件1件で違い、また被災者というのは私たちがはったラベルであり、たまたま被害を受けた目の前の個人として接する必要があるということ。 Kさんは「家がなかなか片付かないし、いっそ全部流されていたほうが楽だったわ」とおっしゃっていた。
その人の苦しみというのは一人一人状況が違い、被害の大小で苦しみは計れないのかもしれないと感じた。 そして、現地にいくということの大切さ。 募金やこちらからの支援ももちろん必要で大切なことだが、現地に実際行くことで遠くからも応援していますということを伝えられると思う。 戸別訪問をしたけれども、うまく話せず、これって本当に意味があるのかなとも感じたが、2日間を通して少ししか話せなかったけれど色んな人に出 会って、「西宮から!遠いとこから若い人がねぇ〜」と言ってくださるかたも何人かいて、実際に顔を合わせるということだけでも意味があるのではないかと 思った。
今回初めて被災地へ行ったが、一番不安だったのは被災された方とどうやって話をすればよいかということだった。行くかどうかはかなり迷ったが、結 果的に行ってよかったと思った。うまく話せたとは思わなかったし、私が関わったのは野田村のほんの数人ではあるけれど、色々なことを感じ、学ぶことができ た。 ただ、まだまだ知らないこともたくさんあると思うし、話をするということも含めてうまくできないことや反省点もあった。
これから、またこのような機会があれば参加したいと思う。 あとは、自分が実際に聞いたことや見たことをまわりの人に伝えて、震災への関心がなくなってしまわないようにすることが自分にできることだと思った。
以上が5月1日〜4日の報告です。