新潟県小千谷市塩谷集落→福島県南相馬へ(5月20日の活動)

福島県南相馬市では、津波と原発事故の被害で自宅に住むことが叶わない多くの皆様が仮設住宅に住んでおられます。本日、そこへ、新潟県小千谷市塩谷集落の有志の会「塩谷分校」、「芒種庵をつくる会」の方々総勢19名がバスで訪れ、山菜天ぷらそばを振る舞われました。東日本大震災が発生したとき、南相馬の皆様は地域外への避難を余儀なくされました。

2004年中越地震で大きな被害を受けた小千谷市は、避難してこられた皆様をあたたかく迎え入れ、各集落では様々な交流を通じて、福島県の皆様との関係をあたためて来られました。中越地震で壊滅的とも言える被害を受けた小千谷市塩谷集落には、集落を離れざるを得なかった方々と集落に残った方々との交流を進めてこられた「芒種庵をつくる会」、そして、集落内外の方々との交流を深めてこられた「塩谷分校」といった有志の会があり、田植え、夏野菜のプレゼント、稲刈りなどを通じて、南相馬から避難されていた皆さんと交流されてきました。

塩谷集落の皆様からは、「山菜が採れる時期になったら、是非、南相馬の皆様に食べて頂きたい」という声があがり、小千谷名物のそばを使って山菜天ぷらそばを振る舞う企画が立てられました。そして、NVNADを介して交流のある岩手県野田村から特産の塩蔵わかめも取り寄せて、「わかめ入り山菜天ぷらそば」のメニューで炊き出しを行うことになりました。塩谷分校定例会などを通じて、山菜の準備手順、当日の流れなど、何度も打ち合わせを行い、先週にはリハーサルも行って、今日の活動へとつなげてこられました。

朝10時。早朝5時に塩谷を出発した小千谷観光バスは、南相馬の仮設住宅に到着しました。これまで塩谷集落に関わらせて頂いて参りましたNVNADスタッフと関西学院大学教員の2名は、仙台から先に到着し、福島県白河市在住の芒種庵をつくる会会員のご夫婦と一緒にコンロの台などの準備をして、小千谷からのバスを感慨深く出迎えました。バスから降りた皆様は、早速、ガスコンロを設置し、山菜の天ぷらをあげたり、畑わさびをすったり、お湯を沸かしたり、準備が始まりました。正午の開始時間を前に、仮設住宅に住む子どもたちもやってきて、ふと見ると、塩谷集落の旗の横には長蛇の列。山菜天ぷらそばは飛ぶように手渡されていきました。仮設住宅集会所のまわりでは、あの頃、小千谷で過ごされた面々との懐かしい会話もはずみ、大盛況のうちにあっという間に時間が経っていきました。

いつまでも名残惜しい語らいが続きましたが、午後2時前には片付けが始まりました。塩谷集落の皆様は、南相馬の方々と、「また南相馬に来てくれや」、「今度はまた塩谷に遊びに来てもらいたいのぅ」と互いに握手をしながら別れを惜しみつつ、バスに乗られました。バスに向かっていつまでも手を振る南相馬の方々に、バスの中からも大きく手を振る塩谷の皆様の姿がありました。被災地のリレーがまた1つ動きました。これからもお互いに支え合う関係が末永く続きますように。塩谷分校の皆様、芒種庵をつくる会の皆様、また、小千谷市復興支援員室の皆様、どうもお疲れ様でした(NVNADは、この活動を一部支援させていただいております)。