タイトル:市だごづくり教室 安永仮設団地
11月19日、NVNADは、益城町木山地区の郷土料理「市だご」を、安永仮設団地にお住まいの住民から習う、「市だごづくり教室」を開催しました。震災から7ヶ月が経過し、仮設住宅での生活にも徐々に慣れてきた被災者も多く、中には、ボランティアに与えてもらうばかりではなく、自ら主体的に何かコミュニティ作りに寄与したいという思いを持つ方も出てきました。そこで、今回は、地域の年配の方を「先生」に、ボランティアやその他の住民を「生徒」にして、市だごの作り方を学び、実践し、最後は皆で食べる「市だごづくり教室」を開催しました。活動には、総勢21人が参加し、100個の市だごを作り、おいしくいただきました。参加者からは、「これを前から作りたかったんよ。」や、「私はもともと地域が木山じゃなかけん、作り方を知れて良かった。」と、安永仮設団地だからこそ、このような機会が持てたというような声もあり、コミュニティ作りという観点から見ても、大変意義のある活動になりました。
市だごとは、毎年3月初めに木山地区で開催される「初市」で作られる団子が、各家庭に広まって作られるようになった団子のことを言い、約200年の歴史がある伝統的な甘味です。うるち米ともち米の米の粉から作った団子をあんこで包めば出来上がりです。今回は、数年前までは毎年市だごを大量に作って、重箱に入れてご近所さんに配っていた91歳のおばあちゃんに「先生」になっていただきました。市だごを作ったことのない他の住民やボランティアは、「生徒」になっていただきました。
「生徒」と言っても、70代や80代の住民の方も多く、やり方さえわかれば手慣れた手つきでどんどんと作られました。そんな「生徒」も、時折、「先生−!これはもう、茹で上がりのサインですか−?」や「団子の大きさは、このくらいでいいですか−?」と質問し、「先生」は、「それでよか。」や、「もっと団子は小さくてよか。」などと答えました。市だごが出来上がると、皆でいただき、私もいただきました。団子の弾力もちょうどよく、あんこと絡んで非常においしかったです。「先生」からも、「上手にできた。おいしか。」とコメントをいただきました。イベント終了後には、「次はだご汁をやってみたいねー。」や、「来年の初市に出店できるんじゃないか。」などと声があがり、「安永仮設店でどうだろうか」「それはよかね−。」と話は広がり、大変盛り上がりました。
今回、NVNADは、必要な材料をこそ用意させていただきましたが、イベントの進行などは、集まった参加者のペースに任せて、自由に行われました。そうすることで、参加者が主体的にイベントに関わることができ、あちらこちらで活発な会話が飛び交い、たくさんの笑顔が花を咲かせました。熊本地震の仮設団地は、様々な地域から入居されており、コミュニティをどう作っていくかが、今後の復興に重要です。今回のような取り組みを通じてコミュニティが少しずつ出来ていき、地域住民からの内発的な復興につながることを願っています。今後も、NVNADは、復興過程の様々な段階に応じて、被災者のみなさまの復興を支援していきたいと思います。