東日本大震災でNVNADは岩手県野田村の支援を続けています。そのきっかけの一つが阪神大震災時の西宮の子どもたちです。被災地児童招待キャンプでお世話になった八戸の方々と向かったのが当時ボランティアがほとんど入っていなかった野田村でした。23年4月に野田村入りして以来、私は子どもたちの支援を中心に活動。今は支援というより「交流」となり、6回目を迎えた今回は、より継続することの意義を感じました。
事業実施は野田小学校の冬休み中で、近年は1.17の震災行事に参加しています。最初は友だちを自宅に誘うような感じでしたが、子どもたちだけでなく学校や保護者とのつながりもあって、毎年募集人数を超えるほどの応募でした。私たちは阪神大震災の経験もあって、子どもたちにただただ「楽しい体験を」と思っていましたが、保護者達から積極的な震災行事への参加希望が上がりました。また、村役場もソフト面での復興ということで前向きにとらえているようです。
今回は1月14日から17日の日程で、4人の中学生、6人の小学生、3人の保護者が訪れました。予算の関係もあって人数や学年を限って募集しましたが、小1からきている小6や、6回目の中1、もちろん初めての子どももいます。そして昨年度から子どもたちの感想が変化してきました。何度か来ていた中1が「小学生の時とは違って、復興について考えた」との感想や、はじめての小6も「西宮の人たちの温かさを体験した」としています。また、彼らが来るたびに西宮の人たちも様々な面でサポートしてくれますが、それらの人たちの中には「以前は1.17が来るたびに憂鬱だったが、野田村の人たちが来ることで期待できる時間になっている」と野田村の方たちに元気をもらっていると言っています。このように西宮、野田村の両方にとってより良い交流になっていることは間違いないと思います。
今回は野田中学校と交流する西宮市立山口中学校の保護者が、初めてホームステイを申し出て、野田村の4人の中学生がお世話になりました。また、昨年4月に赴任された同校校長は、昨年8月西宮の中高生と一緒に野田村に出向いています。これらのことからも一層交流が進んだのではないでしょうか。16日午後の交流会では地元の子育て世代も参加。津波で流された野田村保育所の保育士だった保護者が当時のことを話し、災害時に子どもをどう守るかを話し合いました。今回の交流の様子は阪神間のみならず、野田村の地元紙でも取り上げられました。特に岩手日報には「二つの災害教訓胸に 野田中小中学生ら兵庫・西宮で追悼」と1/17付朝刊の一面に掲載されました。
阪神大震災の体験が東日本大震災被災地で少しでも生かしてもらえたら、そして未来につながる子どもたちに伝えていけたらと切に願います。(NVNAD理事 米山清美)
今回の日程:1/14夕方到着後歓迎会、1/15姫路城見学(小中学生の希望による)、1/16西宮市立山口中学校交流会、西宮神社会館での交流会参加、1/17西宮市震災記念公園での記帳と献花、夕方野田村帰着