浸水写真復活プロジェクト
●浸水写真をお預かりした経緯
7月14日(土)〜16日(月・祝)に、渥美理事長・NVNADの役員や阪大稲場研メンバーなどと共に支援に入った倉敷市真備町のお宅から、浸水し泥で汚れた写真アルバムを預かってきた。量は、ダンボール箱5箱分。写真はA4サイズのポケットアルバムや古いアルバムにきちんと整理されている。アルバムは部屋の棚の中にしまわれていたらしく、アルバム単位で泥水に浸かりバラバラの写真はほとんど無い。このアルバムには、お子さんの誕生や成長の記録の写真も多く含まれ、失うと二度と戻らない家族の宝であった。なんとか、それを修復したいと思い、許可を得てお預かりしてきた。
●公民館でボランティアを募り修復作業を実施
当初、萩野が持ち帰った分を自宅で乾かしていたが、私が副会長をする三重県津市の『津地区ボランティア連絡会』の役員仲間が手伝ってくれるという話になり、作業場所等を考えていたところ、広い会場で多くのボランティアを集め一気に作業しようという事になった。7月21日(土)と22日(日)の2日間、津市の中央公民館で、まず乾燥の作業を実施した。緊急の呼びかけに応えて集まったボランティアは、延べ25人ほど。津市ボランティア協議会役員2人の他、津市社会福祉協議会の職員がボランティアで。また、メールやSNS等での呼びかけに応じて集まった初対面の方も含め25人程参加いただいた。
●乾燥行程の手順
今回持ち帰った浸水写真は、浸水によりアルバムの紙部分がボロボロで、触ると崩れる程。慎重にページをバラし、ハサミでフィルムごと切り分け、張り付いたフイルムを丁寧に剥がし、新聞紙上に並べる。写真の周囲1センチ程度(保存されていた場所により差はある)が、画像を構成する乳剤面がグニャグニャになっている。が、肝心の画面の中心部分はほぼ健全。切り取り作業が終わった写真は、古新聞紙を敷いた上に並べて乾燥する。この作業には、広い場所が必要なので、津市中央公民館で一番広いホールをお借りし作業を実施した。写真のベースの用紙は、最近の写真であれば1〜2時間くらいで乾燥する。緊急に写真を乾燥することで、画像が消えていくことはストップできた。24時間置いたあと、150枚程をプラスチックケースにシリカゲルと共に入れて次の行程まで保存する。その場合、写真を平面的に重ねると、溶けた乳剤が写真の裏にくっつくので全て立てて保存する。この2日間で乾燥した写真は約3,500枚。
●続いて周囲の溶けた乳剤を拭き取る作業
乾燥行程が終わると、次に写真の周囲の乳剤を拭き取る作業に移る。この溶けた乳剤の乾燥にはかなりの日数がかかるようでもあり、また写真の見た目も悪いので、エタノールを含ませたティッシュで拭き取る作業を実施する。これも、多くのボランティアを集め、多人数で実施する。今回は、8月4日(土)と5日(日)の2日間に渡り、作業する予定。この作業については、津市社会福祉協議会の支援をいただき、社会福祉協議会の会議室をお借りすることができた。
●ジレンマ
この写真修復は、被災地に行かなくてもできる支援として、高齢者も含め多くの人が参加する活動にしたいが、写真の劣化の進行を考えると、そうのんびりと呼びかけもできない。また、高校野球シーズンでもあり、活動を広報したが新聞では告知されない。やはり三重では遠くの出来事なのかなあと思ってしまう。
浸水写真復活プロジェクト
報告者:日本災害救援ボランティアネットワーク監事 萩野茂樹