戦災復興区画整理の華、環状三号播磨坂の桜と、小石川の歌舞伎湯

今年の東京は桜の開花宣言後寒い日が続き、満開は次の週末になりそう。そこで銭湯とまち からお勧めの一か所を。

丸ノ内線茗荷谷駅から春日通を5分ほど歩くと小石川五丁目交差点、ここから突然始まる幅40mの広い道路があります。中央の広い分離帯は公園のようになっていて、両側の歩道とあわせて4列で続く桜並木はまるで桜のトンネルで、「播磨坂桜並木」として有名です。この道路は400mほど行った小石川植物園前交差点で突き当たってしまい、両側2車線ずつの車道は通る車も多くはありません。お花見のために作った道路かと思うほどです。

本来この道路は、東京の8本の環状道路の一つ、環状三号線で、戦後すぐ小石川付近の戦災復興区画整理事業でこの部分が完成しました。ここから西へ1kmほどの早稲田鶴巻町から先も外苑東通りとしてできているのですが、戦災復興計画の大幅な縮小もあり、そこまでの間を整備するタイミングを失って、つながらない独立した区間になっています。

この並木道は、当時東京都都市計画課長で戦災復興計画の中心的存在だった石川栄耀(ひであき)が唱えた、広い植樹帯を持つ道路を戦災復興区画整理で整備し、東京中に緑のネットワークをつくろうという理想をわずかでも実現したものです。しかし石川の前任地だった名古屋で、田淵寿郎らの活躍により久屋大通公園などが実現したようには行きませんでした。結局東京の戦災復興事業は当時の知事とGHQの無理解のためほとんんど実現できず、東京が緑のネットワークで覆われることはありませんでした。

もし戦災復興事業がもう少し進めば、来週末あたり東京のあちこちで、都民が気軽に道を歩きながらのお花見を楽しめたはず、と思います。でも環三播磨坂ではそれが可能ですし、さらに、お花見のあとは5分も歩けば、歌舞伎湯があります。ちょっと道は分かりにくいのですが、学芸大付属竹早小中学校の裏あたり、小石川三丁目の住宅地の住宅ビル内にあり、明倫学館という学生寮が目印になります。

構造が変わっていて、下足から階段を下りて半地下に降りたところがカウンターです。半地下にすることで、階高が低いのを補って天井が高くなっているように感じます。ビル内の銭湯は湯気がこもりがちのところが多いように思いますが、ここは天井が高いのですっきりしています。

浴室の内装は品のいいタイル中心。湯温は高めですが、入れないほどではありません。各種のジェット、備長炭のお湯、宝寿湯など、浴槽の種類が豊富です。ちょっとつらいのは腰かけが昔よくあった小さめのもので、さらにカランの押し手が固く、バランスを崩しそう。ペッタシ座り込んでいる人もいらっしゃいました。ぶら下がり健康器などもあり、健康系が充実しています。

歌舞伎湯 東京都文京区小石川3−12−1 丸ノ内線茗荷谷駅から10分くらい、三田線春日駅からも同じくらい。営業時間 15:30〜24:30 金曜お休み。