分譲住宅の草分け「新町住宅地」、栗の湯、呑川 桜づくしの桜新町

桜の時期のまちと銭湯レポート、今回は世田谷区の桜新町です。
地下を走る田園都市線の桜新町駅から地上に出ると、名前通りに商店街は桜並木です。八重桜なので、時期はソメイヨシノより遅くなります。有名なさざえさん通りの商店街には桜はありませんが、少し先まで行くと長谷川町子美術館のあたりからソメイヨシノの並木道が二本並行し、国道246号を越えて続いています。ちょっと車の通行量が多いのでゆっくり桜を楽しめないのですが、まさに桜のトンネル状態です。

桜新町一丁目から深沢七、八丁目にかけて桜並木は、大正元年から2年頃、東京信託株式会社が開発した分譲住宅地の草分け「新町住宅地」に植えられた桜並木です。今でも桜並木沿いのあちこちに落ち着いた木造住宅も見られます。住宅地に桜を植えた同潤会も、新町住宅地から影響を受けたのかもしれません。

栗の湯は桜新町駅から「さざえさん通り」を行って国道246号を越えた少し東にあります。すぐ前は呑川の流れ、呑川の土手にも桜並木が続きます。桜の花の間からのぞく煙突、春の栗の湯前は桜見物のお客さんでいっぱいになります。

この呑川、はるかに羽田空港のそばまで流れていって東京湾に注ぐ河川ですが、実は栗の湯前が源流です、水源は栗の湯!?そんな馬鹿な。でも栗の湯さんは温泉なので、水脈は関係あるかも。呑川の源流は九品仏にもあるのですが、そちらも10月頃ご紹介した松力の湯のすぐそばです。

栗の湯の建物は純和風ですが、内部はかなりモダンに改装されています。フロントの前に休憩スペースがあり、そこから庭を眺められるのが気持ちいい。浴室の壁の絵は山と渓谷で、浴槽の背景以外にも絵があります。

温泉はメタケイ酸泉ということで、あまり黒くないのが東京にしては珍しい。浴槽の種類はいろいろあるのですが、なにせ商店街や大学に近く、お客さんが多い。人気のある温泉の浴槽には入りきれないほどです。それから持ち帰る人が多いのでしょうか、下足、脱衣箱とも半分以上鍵がないようです。まさかそれを持って帰る人はいないはずですが、椅子がカランの数の半分以下と少なく、浴槽につかるときは他の人に譲ってあげてください。

栗の湯 世田谷区新町一丁目36-6 15時40分から23時 月曜お休み 田園都市線桜新町駅からさざえさん通りの方へ10分弱