往時の雰囲気を残す同潤会堀切住宅、葛飾区堀切の福喜湯

京成電車の堀切菖蒲園駅は、大阪のJR阪和線美章園駅(あの美章園温泉最寄りの)と雰囲気が似てるような気がします。高架の駅、改札を出た前の幹線道路を背中に、線路に沿って伸びる商店街、焼き鳥の煙。福喜湯はその堀切菖蒲園駅から北へすぐのところにあります。玄関は改装されていますが、内部は天井が高い伝統的な造り。脱衣場はレトロというか若干古びています。樹脂張りだけど横長の脱衣箱。テレビは床に放り出されています。クーラーは故障中?扇風機が回っていました。この日の東京の最高気温は32℃でしたが、明け放たれていて涼しかったです。

「シャワーは一列しか出ないから」と親父さんに言われました。なるほどシャワーは女湯との境の一列だけ。お客さんはみなそちらへ。シャワーは使わないので、隣のシャワーのないカランに座ったのですが、お湯も出ません。どうもシャワーのある一列しかお湯も出ないらしく、親父さんが入ってきて、「こっち使って」。設備はかなりくたびれているようです。背景は西伊豆に富士山のペンキ画で、浴槽含めてレトロなタイル張りですが、こちらも古色蒼然。

ところが、少し熱めのお湯につかると、ちょっとほかにはない心地よさです。入る前に見上げた煙突からは盛んに煙が上がっていましたが、明けっぱなしの扉から見える雑然とした釜場、親父さんは時々番台と行き来しています。整理整頓や掃除は苦手そうですが、お湯には心をこめておられるのでしょうか。

堀切の街では悲しいことがありました。堀切菖蒲園駅から歩いて10分ほどのところにあった同潤会堀切住宅、ここは原形に近い戸建て住宅が何戸か残り、往時の面影が最も残っていました。でも今日行ってみると、残念なことにそのうちの一戸が更地になってました。塀と樹木に囲まれて、建物はほとんど見えませんでしたが、低い板塀に囲まれて雰囲気のある一戸だったのに。

福喜湯 葛飾区堀切5丁目11−5 営業時間はちょっと早めの閉店 16:00〜22:00 土曜お休み 京成本線堀切菖蒲園駅から歩いて5分