もと疎開道路の中杉通り、「マチダ」師のペンキ絵がある阿佐ヶ谷南の観音湯

JR阿佐ヶ谷駅からメトロ南阿佐ヶ谷駅の間の中杉通りの欅並木は見事です。東を並行する商店街もいいですし、どちらを歩くか、迷ってしまいます。中杉通りは区役所の交差点で行き止まりですが、その先には善福寺川緑地、柏の宮公園があり、このあたりを南北に、緑の帯が切れ切れにつながっています。阿佐ヶ谷駅の南側には欅並木の由来をかいた標識があります。中杉通りは、いわゆる疎開道路で、戦時中に空襲の延焼を防止するために、建物を強制的に移転させて作った防火帯を戦後道路に整備したものです。大阪でも鶴橋、桃谷など、JR環状線のすぐ東側を通称疎開道路が通っています。
柏の宮公園も防空緑地ですが、これら防火帯の緑は、もともとは戦争を予想したものではなく、昭和7年頃から検討されたグリーンベルト、東京緑地計画の名残りのようです。それが戦時下には防空空地と疎開地帯、戦後は緑地地域や並木道と、二転三転し、柏の宮公園と中杉通りは、時代の波に翻弄されたグリーンベルトが残した痕跡です。

中杉通りから西側にちょっと入ると観音湯があります。フロントの脇から、脱衣場へ入るところは、円を描く通路になっていて、鏡が張ってあるのが不思議な気分です。浴室で注目しなければならないのは、ナカジマとマチダというとても貴重なサインのペンキ絵です。南伊豆から見た富士山は男女にまたがっています。そして島の灯台の脇に小さく描かれた避退所にもマチダという字が。タイルにもところどころヨットなどの絵が描かれています。お湯の温度は若干ぬるめかなあと思います。

観音湯 杉並区阿佐谷南3−27−4 16:00〜24:00 月曜お休み JR阿佐ヶ谷駅、メトロ南阿佐ヶ谷駅から5分