唱歌「たき火」の面影を残す中野区上高田の大黒湯

新井薬師前から薬師に向かう商店街から東へ、上高田の商店街が延びています。商店はまばらで、映画館だったような空きビルもあります。右手にあったはずの池の湯もアパートになったのでしょうか、見当たりません。静かな商店街の東端に近いところまで行くと、煙突が見えてきます。

大黒湯は玄関上の「大黒湯」の文字が立派です。天井は格天井で、木の色が淡く、軽快な感じです。浴室でまず目を引くのは浴槽背景のタイル絵。濃いブルーのモザイクで太陽と光芒、髪の長い若い女性という大胆な絵柄で、モチーフとしても珍しいです。浴槽の一部が前に張り出しているのも珍しい。薬湯はココア湯!でも意外にいい感じでした。商店街は静かでしたが、銭湯はけっこうにぎわっていました。 

大黒湯 中野区上高田3−3−14 15:00〜24:00 木曜お休み 西武新宿線新井薬師前駅から10分

上高田には大きな木立に囲まれた古いお屋敷があり、武蔵野の農家の面影を伝えています。巡っている垣根の途中には唱歌「たきび」の碑があります。作詞された方が近くに住まわれていたようです。このあたりは、♪垣根の、垣根の、曲がり角・・・と、「たきび」の歌が自然に出てくるような風情が今も残された貴重な空間です。