関東大震災の復興住宅、同潤会砂町普通住宅と藤の湯

関東大震災の被災者向け住宅であった同潤会砂町住宅は現在も扇形の特徴ある街区の形を残していて、地図、航空写真から容易に見つけることができます。しかし現場に古い建物はほとんど見当たりませんでした。赤羽、十条、荏原、西荻窪などの普通住宅は、いくらかは名残があるのですが。空襲で焼失したのかとも考えましたが、戦後すぐの航空写真では住宅が存在しているようです。砂町住宅も他の普通住宅と同じ連戸形式の震災被災者向け木造住宅ですが、他の普通住宅では棟の間は路地のような通路しかなく、それが建て替えのネックになって、古い住宅が残ってきたと考えています。でも砂町住宅の場合は区画道路がしっかり整備されているので、住宅が老朽化すればどんどん建て替えられ、古い住宅はなくなったのではないでしょうか。でもただ一軒、増築されている建物の一部に取り込まれるように、建築当時の構造が残されているのではないかと思う建物がありました。なんか足跡の化石を見つけたような気分ですが。

藤の湯は同潤会住宅の入口ともいうべき扇形の要の位置にあります。伝統の和風建築ですが、玄関の上が藤棚になっているのは藤の湯の名前どおりです。フロント方式で脱衣場の内装も新しくて、でも天井は高い格天井、伝統の構造が守られています。浴室も高い湯気抜きの定番の構造、一方タイルはきれいで、清潔な感じです。浴槽の背景は豪快な岩山と渓流のタイル絵です。モザイクタイルは時々見ますが、大きなタイル絵は意外と珍しいです。今もお客さんは多いですが、かつては同潤会住宅の住民で賑わったでしょうね。
藤の湯東砂3-18-17 16:00〜 6のつく日がお休み 東大島駅から20分くらい、バスもあります