歌舞伎の名場面「矢口渡」、一乃湯

矢口渡(やぐちのわたし)駅は歴史を伝える駅名としてなかなかいいですね。多摩川は流路が変わるので、元は新田神社の付近にあった矢口渡しは、最後は国道1号の多摩川大橋付近に昭和24年まであったそうです。
浄瑠璃、歌舞伎の神霊矢口渡は、平賀源内作で義興討ち死に後の話として展開します。足利方についた船頭頓兵衛が義興の弟義岑を謀殺しようとしたのを、頓兵衛の娘が止めようとして切られます。瀕死の娘は、太鼓を打ち鳴らして討手を欺き、義岑を救うというお話です。江戸時代から人気のあるお話で、矢口渡が有名になりました。

多摩川の河岸に立つ矢口渡の碑に行く途中に、一乃湯があります。国道1号線から一筋西へ行った静かな通りにあります。新しい玄関の上に大きくて立派な破風がのぞいていて、もとは伝統的な和風建築だったようです。
脱衣場も広々として天井も高いです。天井の構造は入口側、浴室側から緩い勾配で、中程が高くなったあまり見ない構造です。浴室は幅が広く、高い天井がなおさら広々と感じます。気持ちいいです。浴槽背景のペンキ絵は富士山を中央に、男湯が渓流、女湯が海です。浴室内にガリウム温泉という一角がありました。お湯はちょっと熱めでいい気持ちです。会社帰りに寄ったので、遠くまでお帰りですかとご主人に声をかけていただきました。サラリーマンにはそれだけで元気が出ます。ありがとうございました。
一乃湯 大田区矢口3-9-24 16:0 0〜23:00 土曜お休み 多摩川線矢口渡駅から6分