西新井大師参詣の帰りには、昔は宝華園、今は湯処じんのび

初詣などでたいへん賑わう西新井大師(総持寺)は、弘法大師を祀るお寺で関東三大師の一つ、川崎大師も仲間です。元三大師を祀る佐野厄除け大師なども別の関東三大師で、時々混線してたりします。
西新井大師の西にある都営西新井六丁目アパートは、かつての「宝華園」の跡地です。宝華園とは料理屋、庭園、桜並木、ボート遊びや釣りのできる池などがある、今風に言うと遊園地でしょうか。(遊園地という言葉さえ今風ではないかもしれませんが。) 浅草の花屋敷のように、西新井大師に参詣する人々の帰りの楽しみの場だったのでしょう。

湯処じんのびは、かつての宝華園、都営西新井六丁目アパートのすぐ北にあり、団地の一番北の建物から鍵型の道を曲がると正面に見えてきます。じんのびってくつろぐという意味の能登地方の言葉だそうです。現在は西新井大師参詣のお楽しみは湯処じんのびって感じ。
1階はコインランドリー、2階が銭湯、3階がサウナで階段を上がって行きます。14時から営業していてすごく賑わっています。浴槽の背後には熱交換の仕組みとか、和辻哲郎博士のお話とか張ってあってすごく役に立ちます。和辻博士は古寺巡礼のなかで、「西洋の風呂は事務的で、日本の風呂は享楽的だ。西洋風呂はただ体のあかを洗い落とす設備に過ぎないので、言わば便所と同様の意味のものであるが、日本の風呂は湯の肌ざわりや熱さの具合や湯のあとのさわやかな心持ちや、あるいは陶然とした気分などを味わう場所である。」とおっしゃったそうです。
じんのびのご主人はまた銭湯は子供の躾の場として重要と力説されています。その一環か、メルヘン湯と名づけた子供向きの小さな浴槽があり、おもちゃが準備されているだけでなく、壁に九九の表が貼ってあります。子供の頃九九を最後まで唱えないとお湯から出ちゃダメて言われませんでした?
湯処じんのび 足立区西新井6-43-4 14:00〜25:00(日曜日は12:00〜) 月曜お休み 大師前駅から8分