賑やかな笹塚駅を南側へ出ると、目の前に伸びているのが、玉川上水第二緑道です。玉川上水は、多摩川の羽村から取水して四谷まで水を導き、江戸の街に衛生的な飲料水を提供した江戸時代の水道です。幕府が費用を出して玉川清右衛門、庄右衛門兄弟に命じて工事させたのですが、羽村から四谷まで実はそれほど高低差がなく、自然流下で水を流す工事は困難を極めたことでしょう。最後は私財を投げ打って完成させた玉川兄弟は、郷土の偉人として讃えられています。
玉川上水は多くの部分が緑道としてたどることができます。笹塚駅前から玉川上水第二緑道を下流の方へ歩いてみると、しばらくの間、水が流れている部分があり、昔の玉川上水の姿を偲ぶことができます。緑道は東北沢付近まで南下し、井の頭通りの大山交差点あたりでは一転真北へ向かって幡ヶ谷駅付近へというように、わずかな高低をなぞるように折れ曲がり、工事の苦労が偲ばれます。
玉川上水跡の緑道が一番南へ来て北へ転じるあたり、井の頭通りを渡ると、アールデコ調の山の湯がありましたが残念ながら3月末で廃業、中野通りを渡ってさらに緑道を下流へたどると、消防学校からきびきびした訓練の声が聞こえてきます。その先で幡ヶ谷駅から来る通りに曲がったところに仙石湯があります。
ビルの一階の銭湯ですが、入口は番台で、とても上品な女将さんが座っていらっしゃいます。古い建物で、天井はそれほど高くはなく、ペンキ絵やタイル絵などもないのですが、床とかきれいに磨かれて清潔感いっぱいなのが補っています。なんかほっとする銭湯でした。
仙石湯 渋谷区西原2-27-5 16:00〜24:00 月曜お休み 京王新線幡ヶ谷駅から3分