千川上水と北区西ケ原の月の湯

明治通り堀割交差点の北側に千川上水配水堰の遺構があります。千川は、江戸時代に五代将軍綱吉の命で作られ、石神井の方から江戸の町に水を送っていた上水のことです。碑の位置までは水路できて、ここから掛樋で江戸の町へ配水されていたようです。堀割交差点から明治通りを渡って豊島区側へ入ると、千川上水浄水場を公園にした千川上水公園があり、六義園給水用千川上水沈殿池の栓が残されています。
千川上水は上水道以外に王子付近にたくさんある製紙工場への給水も大切な役割で、大蔵省紙幣寮抄紙局、現在は大黒湯で紹介した国立印刷局王子工場へも送られていました。千川上水浄水場と印刷局を結ぶ線上に月の湯、鶴の湯と二軒の銭湯があります。

月の湯は千川上水公園から明治通りを行って、西巣鴨交差点の先を斜めに入ります。西ヶ原四丁目電停から二つ目の踏切を越えると細い道になります。月の湯と鶴の湯は、西ヶ原、滝野川と住所は分かれますがどちらも西ヶ原と滝野川の境にあり、道が分かりにくいので住所の境を目印に行くと迷いません。
月の湯はフロント方式ですが、玄関の正面に広いガラス窓があって、フロントから外がよく見えています。玄関の前では白い猫ちゃんがお出迎えですが、実は出迎えているのは食べ物を頂けるお客さんだけのような。
脱衣場、浴室ともにきれいな蘭の花が飾られています。元気な女将さんがいらして、帰りは扉のところで一度、三和土でもう一度、玄関を出たところでと、計三度もありがとうございましたと言われて恐縮しました。フロントからお客さんが道に出るまで見送っていらっしゃるのです。
月の湯 北区西ケ原4-29-1 15:00〜24:30 月曜お休み 荒川線滝野川一丁目から5分