小田急の連続立体交差事業で深い地下駅になった世田谷代田駅はまだ工事中、仮の通路を出て北へすぐ、新寿湯があります。西側を環七通りが通るビルで、脱衣場の上が住宅のようです。
浴槽は一槽だけなのは珍しく、このため全体が薬湯ですが、手足を伸ばしてゆったり浸かることができます。浴槽背後はモザイクではない長手積み煉瓦状のタイルで、八ヶ岳のような感じの山の図柄です。二十三区西部ではめずらしく熱めのお湯で気持ちいいです。
新寿湯 世田谷区代田5-11-7 16:00〜24:30 月曜お休み(祝日、第5月曜の場合は営業) 小田急世田谷代田駅から3分
新寿湯は井の頭線の新代田駅からも10分かかりません。駅南側の道路を左手へ行くと、道路は自然に南へカーブを描き、小田急世田谷代田駅の方に向かっていきます。駅の手前で右に曲がれば新寿湯です。
この道路とほぼ並行するルートでかつて井の頭線と小田急を結ぶ連絡線が敷かれていました。昭和20年5月25日の空襲で井の頭線の永福町車庫が被災し、大半の車両が焼失、軌間(レールの幅)が同じ小田急から応援の電車を送り込むため仮の線路が急遽敷設されました。焼けた電車の搬出にも使われたということです。その時代は井の頭線も小田急も全部東急に合併していたので、今なら別会社になっている線からも車両の応援ができたのでしょう。
戦後井の頭線は京王に、小田急も独立し、使うこともなくなった連絡線は昭和28年に撤去され、今は土地の形状にだけ名残をとどめています。写真の新代田駅を出てすぐ、連絡線の線路は右手に曲がっていました。