≪めぐろチャイルドライン NEWS LETTER NO.31≫
■被災地の子どもたちから学ぶこと
目黒区青少年委員 山 賀 明 子
私が所属する目黒区青少年委員会では、1年に1回地域の青少年育成者を対象としたフォーラムを開催しています。今年度のフォーラム実施にあたっては東日本大震災の影響を考えないわけにはいきませんでした。目黒区の友好都市・気仙沼で、子どものための冒険遊び場活動を展開しているNPOがあるという情報を得て、講演会を企画しました。前年度、「遊びが育む子どものチカラ」をテーマに子どもの遊び場について学習したので、その第2弾として、被災地の子どもたちにとって遊びそして遊び場がどんな役割を果たしたのか知りたいと考えたからでした。
講師はチャイルドライン活動でも知られる日本冒険遊び場づくり協会の天野秀昭先生。阪神大震災のときの被災地での遊び場活動から、今回も被災地の子どもたちのために冒険遊び場が必要と震災からわずか1ヵ月半で遊び場をオープンしました。
被災地の子どもは震災で体験した悲しい、苦しいことを震災ごっこ、津波ごっこという遊びに変えて受け入れようとします。自分で乗り越えなければいけないことを、本能で感じ取るのでしょう。「子どもには自分を癒す力がある」…だからそれを十分に発揮できる場としての遊び場が必要なのだそうです。大人の役目は、子どもが遊びを通して自ら育つための環境を作ること。大人が主体の「教育(教え、育てる)」ではなく、子どもが主体の「遊育(遊び、育つ)」が何より大切というのが天野先生の持論です。
「生きる力をつける」という発想は大人目線、子どもは「生きる力」を持っている。その力を封じ込めず、引き出すことを知っている人は少ないそうですが、プレーリーダーは知っていると天野先生は言います。現地の映像も見ましたが、プレーリーダーのギターに合わせて自分たちのことを替え歌で表現する女の子たちの表情は何かを乗り越えた力強さを感じさせるものでした。
「あそびーばー」と名づけられた現地の活動は協会からのプレーリーダー派遣が3月末までの予定です。その後は地元の有志による運営に引き継ぐため、現地の運営体制作りの最中とか…。今度は大人の連帯が必要とされています。
お話を聞いて、目黒の遊び場の状況を寂しく思いました。ここでは、広くて何もない遊び場から様々な可能性が生まれる冒険遊び場を作ることは難しいでしょう。でも、良きプレーリーダーがいれば、都会も遊び場にできるかも…と改めて人材育成の大切さに気付かされた時間になりました。