『川瀬巴水 木版画展』を観賞

川瀬巴水(1883〜1957)は、日本全国を旅しては大正・昭和の懐かしい風景を描いた、風景版画家ですが、海外での評価も大変高いと聞いています。
その巴水の作品を集めた『川瀬巴水 木版画展』を観賞してきました。特に巴水が昭和5年に制作した著名な『手賀沼』(写真添付)は初刷りが国内外で10点程度しか確認されていないため、「幻の木版画」と呼ばれています。
また、この作品の原画に当たるスケッチが1月に発見されたのですが、そのスケッチも同時に展示されています。
この『手賀沼』では、柏市(旧沼南町)側から我孫子方面を眺めた構図になっていて、沼には舟が浮かび、入道雲が湧き立つ初夏の手賀沼の光景が描かれています。入道雲の下には、後に我孫子ゴルフ倶楽部が創設された台地が眺められます。

この作品が制作された昭和5年は、我孫子ゴルフ倶楽部の建設が始められた年であり、その建設にも尽力した杉村楚人冠が中心になって、国の手賀沼干拓計画に反対するために「手賀沼保勝会」を作って活動をしていた時期でもあり、手賀沼の歴史の上では大きな転換期を迎えつつあった重要な時期の手賀沼の様子を描いた作品として、感慨深いものがあります。
(会員T.S記)