「手賀沼」制作80周年記念『川瀬巴水木版画展』 ①

我孫子の景観を育てる会が実行委員会構成団体として企画・運営に協力いたします「川瀬巴水木版画展」の出展作品が決まりつつありますので、順次ご紹介していきたいと思います。

【川瀬巴水木版画展のご案内】
◆会期: 2011年3月18日(金)〜3月23日(水) 午前10時〜午後7時
◆会場: 我孫子市民プラザ・ギヤラリー
(地図:http://members3.jcom.home.ne.jp/abikopla/sisetuannai.html)
JR我孫子駅北口・エスパ3F (あびこショッピングブラザ内)
 電話04-7183-2111
◆入場料600円、前売り500円
(会期中、ご本入に限り入場券で何度でも再入場できます、中学生以下無料)
◆江戸木版画摺師による木版画摺り実演など、イベント多数開催
※詳細案内紹介サイト: http://www.geocities.jp/shiminkatsudou_abiko/seminar/110318_oshirase.html

【出展作品の紹介】
展示会に出展される作品としては、巴水作品の中でも名品といわれている作品の中から51点、「常磐線沿線・茨城県作品」から27点の出展などが予定されています。
それらの出展作品を順次ブログで紹介していきたいと思います。

※大きな画像をご覧いただくためには、画像をクリックしてフルスクリーンにしてご覧下さい。
また、大きなサイズの画像は、会員の「迷い鳥」さんの個人ブログに掲載されています。「迷い鳥」さんの川瀬巴水作品の紹介記事URL:
http://blogs.yahoo.co.jp/abbysasaki/22112473.html

《馬込の月 昭和5年(1930)作》
「東京ニ十景」という20図シリーズの1点。
巴水が住んでいた馬込の田園詩趣である。数幹の老松を思いきり大きく描き、雨後らしい冴え冴えとした満月を松の枝間に見せて、紺碧の一天地として作る。藁ぶきの農家から灯がもれる。丸い月と小さな角窓の狐燈の対照が実に巧妙である。巴水の夜景中の傑作として定評がある。

《土浦の朝 昭和6年(1931)9月作》
朝霧にまだ舟も木も道もあたりの空も、しっとりとぬれた気分を出そうとしたものであろう。
朝風のわずかに動いてかげゆらぐ川面もよい。この絵はじっと眺めていると趣の深まる作である。(楢崎宗重)

《舟堀栗渡 昭和7年(1932)作》
舟堀(現・船堀)は東京都江戸川区の荒川東岸沿にある。明治年間から荒川では水運が発達し、東京深川高橋から船堀を経由して浦安・行徳までの定期航路があった。昭和6年(1931)の東京汽船㈱の停船所一覧には、南船堀と西船堀の間に「栗渡」という駅名がある。観光ではなく生活のための航路と思われる。巴水は明るい真昼の船着場の生活感溢れる風景を描いている。画面中央の大木は、名前の由来となった栗の木でなかろうか。この作品が生まれた昭和7年10月には、7町村が合併して人口約10万人の江戸川区が誕生した。

《亀戸の藤 昭和7年(1932)5月作》
中判。美しい絵、そして江戸の昔から、清長・歌麿・北斎・広重等、数多くの浮世絵の題材に使われた名所絵。子宝に恵まれぬ巴水の幼女に寄する愛情を示す絵。(楢崎宗重)

《麻生の夕(茨城県)亀戸の藤 昭和11年(1936)作》
遠い雲にバレン目を生かそうとしている。近景のひなびた感じや空間性の表現は、巴水独特のものであり、巴水のよさや歴史的な価値創造である。夕暮れの情緒もよく出ていて、すぐれた作といえよう。(楢崎宗重)

(続く)

(T.S.記)