ドイツのパン(4) からくり時計とセンメル

ドイツ旅行3日目の午前中は、ミュンヘン市内の観光です。レジデンツ、ミュンヘン市庁舎を見学しました。レジデンツは、かつてのバイエルン王のヴィッテルスバッハ家が住んでいたといわれる宮殿です。ミュンヘンは、東のザルツブルグから西のアウグスブルグを結ぶ塩の道の拠点として、交易で繁栄を遂げた街です。その富をつぎ込んだ宮殿の装飾・宝物に魅せられました。
 続くマリエン広場に面したミュンヘン新市庁舎は、有名なからくり人形の時計があります。人形は、等身大で、2段に分かれていて、12時になるとスタートしました。まず、教会の鐘が鳴り、終わるとともに人形が動き出します。上段の騎士たちの戦闘場面があり、次いで、下段の鍛冶屋と桶屋の職人の踊りが始まります。なせ鍛冶屋と桶屋かというと、彼らは職業柄金槌を使っていてうるさいため、昔は街の外側に居住させられていたということで、郊外にある墓場と近かったかったためとのこと。中世ヨーロッパはコレラが猛威をふるい、死者が次々に墓場に運ばれていくのを彼らは毎日目にしていたが、あるときから死者の搬入が少なくなっていくのを実感し、市の中心部に繰り出してコレラの終息宣言とも言える踊りで祝ったのをからくり人形の踊りにしたのだということでした。この踊りが終わると、しばし音楽が続き、最後に、上層部にある、これもからくりのニワトリが2〜3度羽ばたいて鳴き、これで終わるのですが、ここまで約15分間でした。

からくり時計を見終わった私たちは、この新市庁舎の地下にあるレストランに直行しました。この庁舎は、「新」ということになってはいますが、1867年から1909年にかけての建造ということで、この当時から営業しているラッツケラー(Ratskeller)というレストランです。ローストチキンのポテト添え(Veal Wiener Schntzwl)を食べましたが、あまりのおいしさに、私だけローストチキンのお代わりをしてしまいました。このとき添えられていたパンがカイザーゼンメル(Kaisersemmel)でした。王冠からこの名前が付いたと言われています。ドイルの人たちは、このパンの横腹にナイフを入れて、器用にくるりと1回転させて丸く上下に切り分け、それに野菜やソーセージを挟んで食べているのを目にしました。