WCI(world campus international) 招聘顛末記

WCI(world campus international) 招聘顛末記
いつの間にか「家族」になっていたEveちゃん
 ホストファミリー 山口茂

NPO・住みよいまちづくり研究所主宰者の浜崎慶子さんとの関係でWCIジャパンツアー in 我孫子に参加した14人(米、オランダ、ベネズエラ、ケニア等12カ国)のうちの1人、Eve Marmenちゃん(カナダ・ケベック州シャーブルック=女子大生=22)を、8月24〜30日までお預かりした。期間中は常に拙い英語だけが頼りだったが、何の不自由もなくお互いの意思は十分に通じ、楽しい限りの1週間だった。

<フリーの日> WCIの企画のない丸々自由な日は湖北の美容室に出かけたり、取手市の古い造り酒屋を見学したり、我孫子や柏で買い物を楽しんだり、また、その合間に外食したりと、とにかく、彼女の好奇心と行動力は止まる処を知りません。最後の一日は印旛郡にある体験博物館「房総のむら」に出かけ、甲冑を身につけ「Ⅰ am a SAMURAI」と大はしゃぎだった。偶然出会った研修生仲間のMosesとパチリと1枚!

<長女が帰省した気分> ホストファミリーといっても、我が家に限って言えば、日々の生活パターンは通常と全く同じ。彼女のために家族で歓迎会を開いたりすることも、特別な料理を作るということもなかった。(気持ちだけはあったが、時間がなかった) 娘がふらっと帰省した時と100%同じ。で、毎日の生活はというと、「エブ、こらっ、おまえ太るぞ!」「No problem アイスクリームとケーキはベツバラ、ベツバラ!」ってなものでした。救いは帰宅後エブが流しそうめんがおもしろかったことや、かっぱ祭りが楽しかったことを意気揚々と説明してくれたこと。おかげで、家族だけの時の何倍もしゃべりました。帰国したあとで (少しは特別なことをしてやればよかった。いや、ありのままの庶民の生活を知りたいって言っていたじゃないか。これでよかったのだ) と複雑な心境です。

<置手紙> Eveが帰国したあと、彼女が使っていた部屋の机の上にポツンと置手紙がありました。カナダからやって来た、ただのヤンチャな娘と思っていましたが、見るところはしっかり見ていました。Eveはいつの間にか、日本の“親”や“弟”を心配する「家族」になっていました。“but next time Ⅰsee you , you better had stop smoking ahah” 「あれは、凄く健康に悪いから」って。そう何度も言うな、解かっているって。約束するから。無事に帰れよ。また来いよ。

<ついでに> この時点で米国にいる長男から「ボストンの宿が取れなくて、カナダのモントリオールいる。おっ、エブからメール入ってるわい」との連絡。「そこからシャーブルックまですぐだ。顔を出して来い。エブも喜ぶぞ」と言ったら、「ニューヨークへ行く都合があるので、エブのところはどうかなぁ、できるだけ努力する」。若者は浪花節なしの国際交流ですね。

<こぼれ話> 代々200年も続く、取手の造り酒屋「君萬代」に、彼
女の父親の土産にと、お酒を買いに行きました。(エブが自分で買ったのですよ) すると、そこのショーケースに「君萬代」の焼印が押された、いかにも歴史のありそうな“一合升”が展示されていました。彼女に発見されたのが運のつきです。これがどうしても欲しくてたまりません。最初は「これは売り物ではない」と断っていた女店主も「仕方がない。そんなに気に入ったのなら、持っていきなさい。お金もいいですよ」と彼女の“熱意”にギブアップ。でも、なぜか、とてもうれしそう。   
フリーの日に出かけた湖北の美容室ではカットを終えたエブから「これでどう?」と聞かれたから「とても素晴らしい。見違えるようだ」と褒めたら、さっきの従業員にお礼のキスをしてくる、というので店内は蜂の巣をつついた騒ぎです。
豊かな表現力って得ですよね、妻もそれには勝てませんでした。
「Eve これどう?」 一見価値のありそうな古い木箱入り“夫婦茶碗”を見つけ出すと、「これを? 私に? 本当? シンジラレナ〜イ!」と“狂喜乱舞”。周りの皆までうれしくなってしまいます。それ以後、我が家では何かあると“シンジラレナ〜イ”が流行ってしまいました。まだまだエピソードは山ほどありますが、何かひとつでも心に残って下されば幸いです。
以上