「うふふ」。毎日どれだけ愉快か、それが生活の質を左右するのではないだろうか。 (%ニヤ女%)
特に、障がいを持った人、乳母車を押す人、高齢者、などが「あぁ、便利だなぁ、楽しいな」と感じられる街が豊かな街だろう。そんな私も乳母車を押すものとして、フランスのGAP市で「うふふ」と、笑いながら暮らしている。
「うふふ」理由のひとつが、バスとそれにまつわる人々である。
今回はそのバス事情をお届けしよう。(%笑う女%)
フランスでは3つの都市が市長決断で市内バスを無料にしている。そのうちのひとつが、ここGAPである。車の渋滞緩和、環境問題への配慮などから、色々ぐちゃぐちゃ政策を作るより、「えぇい、バスを無料にして、自家用車ではなくバスを思いっ切り利用してもらおうじゃないか」と気前のいい決断をしてくれた。(%笑う女%)
マタニティ時期や出産後しばらくは何かと働けない。ちょっとした小銭も倹約する時期だろう。バスが無料だと、家に引きこもることなく、「子供も泣いているし、乳母車を押して、ぶらっと街まで出かけるかぁ」という気になる。(%笑う女%)
それに全てのバスは車椅子や乳母車を置けるスペースが確保されていて、しかもそこは出口に近いのでなかなか便利だ。乗り降りする際も車体が歩道に傾く仕組みになっていて乳母車でも「えっこらしょ」と傾けるだけで、スムーズに出入りが可能だ。
そんな無料バスは「うふふ」である。 (%笑う女%)
それに車内にはバックミュージックが流れていて、ドライバーの好みでレゲエやロック、ある時にはモーツアルトの「魔笛」などのオペラが鳴り響いていたりする。音楽好きの私としては「うふふ」時間倍増である。(%ニヤ女%)
それでも人の温かみがあればこそ、愉快度が増すというものだろう。バスに乗り込んで乳母車の定位置につく、あるいは赤ん坊を抱いたまま椅子に着席するまで、きちんと運転手は見届けてから車を発車させてくれる。
こうした時間的余裕は心の余裕でもある。当然のことながら乗車するときは「ボンジュール!」、下車するときは「メルシー、アボアール(ありがとう。さようなら)!」とあいさつをするわけだが、通りかかりに知ったカフェのマダムが店内から手を振れば、運転手もそれに応えるし、友達が歩いていれば、乗客が乗ってようが、車が渋滞していようがバスを止めて「サバ(元気)?」と言ってちょっとのあいさつを交わす。時には窓から乗り出して握手もする。乗客も乗客で、乗り込むときに知り合い運転手だと、後ろに詰まっている人などお構いなしに両手の荷物をよっこらしょ、と床において、「サバ?」と握手。女性の場合、運転手とチュ、チュ、チュ、と頬にキスを3度交わす。(%笑う女%)
それだけではない、ある時には突然運転手がバスから降りて出て行ってしまった。(%痛い女%)
しばしの後、両手にバケット(フランスパン)を抱えて帰ってきた。「いやぁ、うちのかみさんに頼まれてねぇ」と、通りがかりのパン屋でパンを買ってくる始末だ。(%ニコ女%)
乗客も、わはは、と笑っている。(%笑う女%)
「うふふ」なバス事情は、街の適正規模や税率などが大きく左右するのも確かだ。しかし、サービス提供者、受給者ともに楽しい人たちだから、車椅子だろうが、乳母車だろうが、高齢者だろうが、ゆったりした気分で「うふふ」とバスを利用できるというものだろう。
さぁ今日も「うふふ」なバスに乗って出かけるとするか。(%ニコ女%)
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(※このエッセイは、「ウィメンズネット・こうべ」さんのニュースレターで連載されたものです。発行者の許可を得て転載しています。)
(まな)