子供を生んでも美しいままで 〜フランスの女性事情 その3〜

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(%エンピツ%) TB:子どもを守る 『様々な考え方』

「び、び、病院に連れて行ってくれぇ(%ショック女%)」その夜、私は妊娠7ヶ月半にして、陣痛らしきものが訪れてしまって、ひーひー言いながら病院に駆け込んだのだ。
検査をすると「子宮口が開いています。すぐに入院です」と言われ、そのまま3週間も入院してしまった。(%ショボ女%)

妊婦経験も初めてなら、フランスでの入院も初めてなので、どこがフランスの特色なのかわからないけれど、マタニティ入院はかなりの快適生活だったので紹介しようと思う。
入院生活で快適かそうでないかを左右するのはなんといっても食事だろう。(%笑う女%)

朝食はいたってシンプル。それでも飲み物も5種類ある中から選べ、ジャムは毎日日替わりだ。これに焼きたてもちもちパン。

昼夕食はミニフルコースだ(%ニコ女%)。
前菜はアンチョビ入りのニース風サラダ、生ハムやグレープフルーツなど。メインは長時間煮たであろう軟らかい牛肉のシチューやラタトゥユ、パイ生地に数種類の薫り高いキノコのクリームソテーなど。
ラザニアやパスタなどのイタリアンにモロッコ、エジプト料理も登場。保温カバーがしてあって、お皿まで熱々だ(%ニコ女%)。
サイドディッシュは温野菜で、さまざまな手法でおいしく料理されている。チーズかヨーグルトが毎回登場し、ブルーチーズ、カマンベール、ハーブ入りクリームチーズなどこれまた日替わり(%ニコ女%)。
デザートはミルフィーユやエクレアなどのケーキか果物。農業大国のため、果物も豊富にそろう。少々形はいびつでもワックス加工されていない気持ちのいい肌触りで、かじると汁がポタポタ落ちるほどのジューシーさだ(%笑う女%)。
ベジタリアンやアレルギー、好き嫌いのある人のために、数日前にメニューを事前に確認してくれ、希望のものに変更可能だ。

これだけでかなりの快適生活が想像できるだろう。

入院して寝たきり生活のため「背中が痛くてたまりません。。。頭の皮まで凝ってきましたぁ」と助産婦さんに訴えるとカルテを書いてそれを夫に渡し、なにやら薬局で購入してくれるよう指示。
次の日、彼が手に入れてきたものは世にいう「スリムになるパンスト」ではないか!(%ショック女%)

太股の部分がレース状になっていて医療品とは思えぬセクシーさだ。履くのには人の手を借りなくてはいけないくらい、きっつきつなのだけれど、血行がよくなるのだろうか、背中の痛みが消えていった。それに加え、次の日から毎日、専門家がアロマオイルで足首から太股にかけてじっくりマッサージしてくれるようになった。

入院といえば持て余すのが時間だ。
寝たきりの人のために移動図書があって、マダムが雑誌と本をカートに乗せて部屋を巡回してくれる。フランス語が読めないので、雑誌を何冊か借りてぱらぱらとめくる。
本ばかりではない。カウンセラーの人がきて、相談相手、話し相手になってくれる。
それ以外にも病院専属の聖職者がいて、宗教とは関係なく、心の悩みや不安などを話すことができる。

総合病院なので、妊婦だけではなく、重い病気を抱えた患者や家族にとってもありがたい仕組みではないだろうか。
看護士さん、助産婦さんたちは明るくよく働き、面白い。(%笑う女%)

さらに出産、妊娠にかかわる費用はほぼ100%保険でカバーされ、その上、妊娠期間に補助12万円、産後も毎月2万円程度の育児手当が支給されるということで経済的不安感もない。
フランス女性が子供を生んでも美しいままでいられるのは細部にわたるサービスのおかげかもしれないと思わせる極楽入院生活だった。(%笑う女%)

(※このエッセイは、「ウィメンズネット・こうべ」さんのニュースレターで連載されたものです。発行者の許可を得て転載しています。)
(まな)