フランスを彩る移民のマダムたち 〜フランスの女性事情 その1〜

フランスの女性というとどんな女性を思い浮かべるだろう。
いくつになってもお洒落でセクシーな女性ではないだろうか。

確かにここ南仏の小さな町GAPを歩いてみても女性は自分なりのお洒落をしながら、どことなくセクシーだ。ボーイッシュにきめてみても色っぽい。私なんぞ顔も体も平たいものだから、ジーンズにTシャツ、深々と帽子をかぶって出かけた日には道でマダムに「ボンジュー、ムッシュー」と声をかけられ、道を尋ねられる始末。(%ショボ女%)

「ムッシュー、って(%ショボ女%)」と思いながらも笑ってしまったのが、フランスでは私のような典型的アジア人にもフランス語で話し掛け、地元の人と思われることだ。
日本で、外国人が多くなったとはいえ、道を尋ねるのにわざわざ白人や黒人、アラブ系の人に声をかけるだろうか。ここでは自然に外国人が生活し楽しく調和しているように思える。(%笑う女%)

そこで今回はフランスを彩る重要な存在、移民のマダムたちに注目したい。
フランス語なんぞ習ったことも無い私は、英語がまったく通じない街で生活に困り、先週から地元の無料語学学校に通いだした。そこで出会ったユニークな人たちだ。

その教室はリトアニア、アラブ系、アフリカ系の人が中心で私だけがアジア人。
その教室がなんとも楽しい。(%笑う女%)
特にアフリカからのマダムはすごい。授業も中盤に差し掛かったころ、アフリカの大柄の衣装を身にまとい、腰を振ってリズムを口ずさみながら入ってきたのがこのマダムだ。遅刻もなんのその、一人一人の席にまわって「ボンジュール」と握手を交わす。
もちろんその間、授業は中断。(%ショック女%)

やっと一回りして握手も終わり私の隣の席に着席。先生は授業再開とばかりに「今は新入生のマナが来たのでフランス語で自己紹介をしているところです。名前と出身国、そして自国の首都を言ってください」マダムはゆっくりわかりやすくフランス語で話してくれる。
アフリカの多くの国の公用語がフランス語であるため、アフリカ系の移民の人はフランス語が話せるからだ。

その後マダムは携帯電話を取り出し、授業中にもかかわらず電話をしだした。フランス語なので何を話しているのかわからないが一通り話し終わって電話を切る。隣に座っている私に大きな笑顔を送ってくれる。15分も経っただろうか。黒人のかわいくお洒落した女の子が登場。
そこでまたマダム。「うちの、孫」とうれしそうに紹介。そして孫が持ってきた袋を受け取り、ひとしきり話して孫退散。
さっきの電話はこの荷物を届けるようにお願いしていたんだなぁ、と思って見ていると、マダムは袋からなにやら分厚い結構な大きさの写真集を取り出した。授業はすでに自己紹介から1人称、2人称、3人称の活用に移っているのにマダムはその写真集で自国紹介をはじめたのだ!そう、その本はアフリカの写真集。
授業はまたもや中断。
先生も学生も「その服の生地、すてきねぇ、さすがアフリカね」とか「釣った魚の大きいこと!」とか言って一緒になって楽しんでいる。(%ニコ女%)

アフリカマダムは帰るときも腰をフリフリ踊りながら退散した。彼女は授業中ひとしきり隣でけらけら笑って楽しいジョークを飛ばしていた。

フランスのんびりした雰囲気や自分のままで居られる空気はこうした移民の楽しい人たちにも支えられているような気がする。(%ニコ女%)

(※このエッセイは、「ウィメンズネット・こうべ」さんのニュースレターで連載されたものです。発行者の許可を得て転載しています。)
(まな)